山岡計文さんに訊く、雨の日のリザーバー :第2回
バスを出し抜くタイミングは? 濁りでバスはどう動く?
Basser編集部=写真と文
関東以西で梅雨入りが発表されましたね。
雨はバスの活性を上げる要素といわれていますが、実際のところどうなのでしょうか。
今回は奈良県の巨大リザーバーのほとりで生まれ育ち、幼少期から魚の動きを観察し続けてきた山岡計文さんが「クリアリザーバーと雨」にまつわる質問に答えてくれました。
第2回の質問は、「一番チャンスになるタイミングはいつか」「濁りでバスはどう動くのか」です。
この記事は2015年6月号に掲載されたものを再編集しています。

七色貯水池のバックウォーター、西ノ川のほとりで生まれ育ったJB TOP50選手。TOP50では七色貯水池と同じくクリアな巨大リザーバーであるさめうら湖で優勝経験あり(天候は雨だった)。南紀のリザーバーでのJB戦やチャプター戦で多数の優勝、入賞経験があり、地元では「リビングレジェンド」と呼ばれている。七色、池原貯水池でプロガイドを営んでいる。
ウェブサイト:山岡計文 池原&七色ダムガイドサービス
問③「降り始める前~雨が止んだ後」のタイミングでいつが一番チャンスですか?
答え:「出し抜くチャンスは『降る直前』です」
立ち木や岩盤でバスを観察していると、バスが浮き始めるタイミングは雨が降る前なんですよね。南紀のリザーバーだと、雨の前に合図があることが多いです。春と秋は雨の前に暖かい風、逆に夏は冷たい風がそれにあたります。この「そろそろ降りそうだな~」というタイミングが一番アツい。バスフィッシングでは天候が変化する瞬間を絶対に逃してはダメです。さらに、雨が降り始めたらほかのアングラーも「バスが浮くぞ」と気付いちゃいますけど、直前は意外とノーマーク。雨をいち早くに察知することで出し抜くことができます。

もちろん、雨が降り始めてから止むまでもチャンス。もちろん、水位の上昇や濁り、雨量に合わせて釣り方を変える必要はありますけどね。そして、雨が止んだ直後も「天候が変化する瞬間」ということで期待大。急に晴れた直後にラッシュが起きることはよくあります。
春に限って言えば、「暖かい雨が止んでしばらくしてから」がベストコンディションになることが多いです。雨が降ってから、雨水がバックウォータに入るまでにタイムラグが生じるからです。濁りや水温の上がり具合を見てタイミングを計りましょう。
問④濁りが入ることでバスはどう動きますか?
答え:「雨は魚が散る要素。でも、濁るとバスはカバーにタイトにつきます。そこが面白いところですね」
クリアなリザーバーにおける「濁り」はほとんどの場合で心強いプラス要素になります。クリウォーターのバスは基本的に警戒心が強いんですが、その分、時おり濁りが入ると開放的な気分になるのか活性が一気に上がります。

そして、濁りが入るとバスはカバーやボトムに対してタイトにつくようになります。ここが大事なところです。雨が降っているときは気圧の低下とローライト化によって、バスがカバーから離れて活動範囲を広げる傾向があります。同時に、雨による濁りでバスがカバーに寄り添うケースもある。ふたつの可能性を同時に考えながらバスのポジションを見極める必要があるわけです。「雨なのに巻いて釣れない」というときは、カバーをよりタイトにねらうと結果が出るかもしれません。たとえば立ち木をスピナーベイトでねらう釣りの場合、雨の日であれば立ち木の脇を通すとバイトが出ることが多いんですが、濁りが入ると、たとえ雨が降っていても立ち木にルアーをぶつけないと食ってこないことがある。濁り具合などによって変わってくる話なので一概には言えませんが、現場で状況を見極めましょう。

最後に濁りの度合いについて。9~11月の台風の直後などは、バックウォーターが激流のカフェオレ状態になることもあります。その状態でも、上流から渓流魚が落ちてくることでバスが差し爆発的に釣れることがあります。岩の裏の反転流やゴミ溜まりにバスも小魚も溜まっていることが多いです。とはいえ、あまりに濁りすぎるとバスがその水を嫌うことはあるので、反応がないときは下流へ移動し、「濁りすぎの水と、そこまで濁っていない水の境目」をねらいます。水の色が切り替わっているということは、ふたつの種類の水が混じり合う場所なので、小魚が溜まりやすいんです。濁りの境目は見逃すべからずですよ。

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2017/6/8