吉田幸二・泉和摩・川口直人ワカサギ鼎談 :第2回
高滝湖のダウンショットリグと霞ヶ浦のクランキング
Basser編集部=まとめ
水温がひと桁台になる冬でもベイトフィッシュに注目してアッと驚く釣果をあげる人がいる。
とくにワカサギが生息するレイクではこのベイトに絡んだ釣り方であることも多い。
今回はBasser2011年3月号に掲載された「ワカサギ・プロファイリング」特集から、ワカサギ絡みの釣りをトーナメントで実践し、結果を残している3名のアングラー、吉田幸二さん、泉和摩さん、川口直人さんを迎えた対談の模様を紹介する。
第2回は、2009年JB TOP50高滝湖戦での川口さんのワンマン入れ食いショーと、オールスターでの吉田さんのクランキングの話題です。

1955年、福島県生まれ。1981年にHMKLの制作と販売を開始。1985年にJBTA(現JB)に参戦を開始。1987~1991年はB.A.S.S.に出場。1997年、少数精鋭で競われるJBワールドシリーズ(現TOP50)が発足すると、その第1戦で春の生野銀山湖を制した。ウイニングルアーはワンオフのHMKLミノー「305‐S生野銀山湖ドラッギングスペシャル」。ヘラブナ釣りとクワガタのブリーディングにも傾倒。

1970年、群馬県生まれ。1984年にクレージークローラーで釣った人生初バスを機にこの釣りにのめり込む。1999年にJBマスターズで優勝、翌2000年からワールドシリーズに参戦。一時期、JBと同時に参戦していたTBCでは、2006年にクラシックタイトルを獲得。2009年春のTOP50第1戦、高滝湖で同カテゴリー初優勝を飾る。趣味はオートレースや競艇の観戦とワカサギ釣り。

1951年、東京都生まれ。1984年に日本で初めて「バスプロ宣言」をしたアングラー。B.A.S.S.などアメリカのトーナメントに参戦し、そこでの経験に基づいて1990年にW.B.S.を設立。後進の育成と水辺のゴミ拾い「53 Pick Up!」(水辺基盤協会)に注力しながら、1998年のオールスターで優勝するなど、トーナメントアングラーとしても数々の実績を残している。得意のスタイルはクランキングとフリッピング。小もの釣りも好き。
高滝湖・境橋道路跡の3日間と桜川・蓮河原水門沖の2日間
対談は2010年12月28日の山中湖にて、湖明荘のワカサギドーム船内で行ないました。
B 川口さんのワカサギ絡みの釣りで印象的だったのは2009年春のTOP50高滝湖戦です。道路跡にできた6、7艇の船団のなかで、川口さんのワンマン入れ食いショーでした。
泉 アレは不思議でしたねぇ。川口君にだけ釣れたんですもんねぇ。


川口 練習の時にダウンショットリグのシンカーを重く、アクションを強くしていったら、あるときからドン、ドンって釣れだしたんですよ。あの釣れ方は高滝湖のクセなんじゃないですかね。ほら、あそこって、キャロも重いシンカーで引き続けるのが効いたり、シャッドやミノーもジャークとかストップ&ゴーはぜんぜんダメだけど、速巻きすると一発で食ってきたりするでしょ。
泉 1日6㎏(5尾)の強烈なパターンが3日間続いたのも凄いですよね。
川口 自分でもそう思いますよ。アレも、もう2度と再現できないでしょうね。初めて使ったスーパークロステールシャッド3inがいきなりハマるっていうラッキーもあったし。第一印象からよかったんですよ。釣ったバスが吐くワカサギとボリュームが同じだったし、ダウンショットでトントンやってみたら、いい動きすんなぁコレ、って。

泉 そのワーム……。あの試合、私は古敷谷川(高滝湖のインレットのひとつ)を釣ったんですけれど、同じスポットで小野(俊郎)君に釣り負けたんですよ。ボートポジションの問題もあったんでしょうけれど、あのときはルアーの差のほうが大きかったように感じました。初めてアライブシャッドで釣り負けて、信じられませんでしたよ。このワームで負けるなんて、と。あのとき高滝湖のバスは、ルアーやアクションをかなり選んでましたね。
川口 オレ自身が船団のなかでああでしたからね。特定のベイトを偏食しているときのバスって、ルアーも選り好みしますけど、それにしても極端だったと思いますよ。こういう高滝湖のクセって、やっぱりワカサギと関係あるんですかね? 今度ちょっと高滝湖でワカサギ釣りしてみるかな。何かわかるかもしれないし。
B ワカサギといえば2010年のオールスターで首を傾げてましたよね。「ワカサギはいっぱいいるんだけど、どうもバスとリンクしてないんだよな」って。
川口 そうだった。プラのときによさ気なエリアでワカサギがぴちゃぴちゃやっててさ。けど、コレは釣れるだろって期待した場所でことごとく釣れなかったんだよ。周りの話を聞くと、釣ってる人はいたみたいなんだけど、少なくともオレにはタイミングを合わせられなかった。途中から違う路線に走って、それが上手くハマってくれたけど。
B そのオールスターでの幸二さんのクランキングって、ワカサギがキーになることが多いですよね。4位に入賞した2009年大会で、桜川下流のハードボトムで2日間延々とクランキングを続けたときも、群れが回ってきたタイミングでバイトがあったようですし。


吉田 ああ~、何かの群れが水面を跳ねながら川に入ってきたのが見えて、そのタイミングで釣れたのはあったな。けど、そのとき「ワカサギが来たぞ~。さぁ、今から釣れるぞ~」って言ってたのは、事実が半分、集中力を維持するための自己暗示が半分ってとこだな。
B 魚探にワカサギの群れは映ってなかったんですか?
吉田 俺は本チャンでは魚探を切っちまうからなぁ。練習でさんざん魚探掛けして、映らない変化までルアーを通して探してるから、試合中はまず見ないんだよ。とくにシャローでは魚探を使わないし、エレキも極力踏まないようにしてる。
B 魚探を見ないんですか……。ということは、ワカサギパターンのように見えて、実はそこまでワカサギの存在自体は重要じゃないとか?
吉田 ん~、ワカサギの群れが回ってきたタイミングで、そこにいるバスの食いが立つってのはある。けど、霞ヶ浦は広いから、いくつものエリアでそのパターンにハメようとすると、時間的にキツいんだよ。直人が「タイミングを合わせられなかった」「釣ってる人はいた」っていうのも、そのへんの難しさだと思う。だから、2009年のオールスターで、俺はハードボトムに張り付いて、「時合待ちのクランキング」をしたんだな。

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2017/2/2