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モノの舞台裏
ワイルドサイド・ピュアグラスクランキンモデル

純で一途な、100%のLOVEクランキンスペック

Basser編集部=文
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純化された素材と製法


 記者がワイルドサイドのクランキンモデルを初めて見たのは2014年の冬だった。当時の構成はグラス、カーボン、アラミドレインフォースの3種コンポジットであり、そのブランクにはカーボンテープによる二重らせん補強(Xラッピング)も施されていた。

4513f330a Xラッピングが施されていたプロトタイプ

 その後、ひさしぶりにこのモデルを目にしたのは2016年の秋。北大祐がシャロークランクを駆使してJB TOP50で2度目の年間王座に着き、Basserオールスタークラシックを勝つ、直前のことだった。

 約2年にわたる開発と、その間にレジットデザインに加わった北大祐の存在が、クランキンモデルを大きく様変わりさせていた。最外層からXラッピングが消え、かつて3種混合であったマテリアルもUDグラス(単一繊維方向グラス)1種を残してほかは不採用が決定していたのである。それは、北がこのロッドに「グラスらしさ」を求めた結果だった。設計した鬼形毅は言う。

「Xラッピングに関しては、グラスらしさをそれほど損なわないので、私としては最後まであってもいいんじゃないかと思っていました。しかし北君は、ナシのほうが釣れるロッドだと。たしかに……、いや、私にとってその差というのは、Xラッピングした物としない物とを使い比べて初めてわかる程度の違いなんですけど。

 正直なところ悩みました。ブランクが100%グラスでXラッピングもしないとなると、素材と製法の面で30年前のグラスロッドと何も変わらなくなってしまう。設計者としては盛り込みたくなるんです。うちはこんな素材も扱ってますよ、こんな効果的な製法も可能なんですよ、というふうに。

 ただ……、クランキンロッドはグラスに始まってコンポジットが主流になり、低弾性カーボンの物も出てきた。とはいえピュアグラスのメリットがなくなったわけではない。そこだけにフォーカスしたロッドを作ってみたいというのは、北君の要求に応えたいからなのか。もしかしたら、私のアングラーや設計者としてのエゴも入り込んでるんじゃないのか、と……」

dsc_8218a設計を担当した鬼形毅氏

北大祐が見せてくれたクランキンの境地


 弾性率について簡単に触れると、t(トン)数が低いものほど軟らかで変形しやすく、高いものほど硬く変形しにくい。つまり「t数が高い=張りがある」「t数が低い=しなやか」ということだ。

 UDグラスの弾性率はおよそ7~8t、カーボンのなかで低弾性とされるもので16~24t。あくまでも素材としての比較になるが、軟らかさとしなやかさに関しては、グラスはカーボンに対してまさに桁違いの優位性を持っている。そんな素材をカーボンとコンポジットすることはグラスの特性をスポイルしていくことになるが、グラスの極端なしなやかさは、慣れないアングラーにしてみれば扱いにくいと感じるだろう。

「私は、タックルは使い手に技術を求める物であってはならないと考えています。誰もが快適に扱えて、やりたいことの助けになってくれるのが優れたタックルだと。ピュアグラスが扱いにくいかどうかは人それぞれでしょう。けれどカーボンが主流である現状、慣れていない人が多いのは間違いない。そうしたアングラーにとっては、コンポジットのほうが感覚のズレが小さいということは言える。だから、純粋にクランキンロッドとしての性能を高めていく開発は、自分のポリシーに反しているようで常にジレンマがありました。

 一方で、これは専用ロッドなんだから、クランキンに特化した性能を持たせることがアングラーの助けになるという思いもあった。そのコンセプトが北君の昨秋の活躍に繋がったときに、迷いが完全に払拭された感じです。

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 TOP50最終戦、オールスター、そしてJB ELITE5(1日目トップスコア)と、あの3連戦の北君のクランキンは神懸かっていた。彼のクランキンは長い年月をかけて習得したものですけれど、その高度な技術も、このロッドの開発とタイトルマッチを通じて短期間にさらにぐわっとレベルアップしていったのが間近で見ていてわかりました。同じことは、これから初めてピュアグラスに触れる人にも起こるかもしれない。その可能性を北君に見せてもらって、開発者としての自分をようやく納得させられたんです」

桁違いの優位性が可能にしてくれること


 弾性率7~8tのグラスマテリアルはクランキンをどう変えるのか。「要点は3つある」と鬼形は言う。

 まずは「ルアーのアクションが変わる」。クランクベイトが泳ぐ原理を考えてみよう。リップに水の抵抗を受けてボディーが傾斜、傾ききったところで水の抵抗を逃がしてボディーがニュートラルポジションへ戻っていき、再びリップが水を噛んで反対方向への傾斜が始まる。クランクベイトはこの繰り返しでアクションする。

 このときロッドティップはブルブルと振動するわけだが、この振動の原因も細かく見るとラインテンションの強弱(張るとゆるむ)の繰り返しである。そしてラインの張り具合はロッドの張りに影響を受ける。グラスロッドは、リップにぎりぎりまで水を噛ませてから抵抗を反対方向へ逃がし、次にリップが水を噛むまでに(ほんの一瞬のほぼノーテンション状態のときに)ルアーを引っ張りすぎない。ラインテンションの張るとゆるむに自動的に「間」を作ってくれることで、ルアーのアクションは大きく、なめらかになる。

 次に「魚が乗るようになる」。ハリ掛かりする魚の数が増えるのだ。カーボンロッドで一瞬だけ掛かって外れてしまっていたのが、グラスでは弾かずに乗ってファイトに至る。状況によってはニゴイやキャットフィッシュがイヤというほど掛かる。ヘラブナのスレ掛かりやバスの外掛かりも増える。「気づかなかっただけで、クランクベイトはこんなにも多くの魚とコンタクトしていたんだ」ということを強く実感するはずだ。

 そして「バレにくい」。ファイト中に深く曲げておきやすいグラスロッドは、そうすることでバスに跳ばれたり手前へ走られたりしてもラインテンションが抜けにくい。強烈な引きに対してもしなやかに追従して、薄皮一枚や外掛かりを身切れさせずに寄せてくることが可能だ。

 これらの芸当が低弾性カーボンやコンポジットでは絶対にできないとは言わない。しかし、クランキンにおいて難しいことを簡単に行なわせてくれる機能が、ワイルドサイド・ピュアグラスクランキンモデルには備わっている。クランクベイトの真のアクションも、より多くのバイトも釣果も、このロッドがきっと引き出してくれる。

dsc_5841a WSC-G62L
6ft2in/標準自重125g/適合ルアー3.5~11g/適合ライン8~14Lb/2万8500円+税
ローテーパー採用のレギュラースローアクションで、シャッド、タイニークランク、バルサ製フラットサイドクランクにマッチする。ピュアグラス製でこのレングスとパワーは、ジャパンオリジナルでありレジットデザインオリジナルだ

WSC-G66ML
6ft6in/標準自重140g/適合ルアー7~14g/適合ライン10~16Lb/2万8500円+税
北大祐のシャロークランクスペシャル。スーパーシャローから潜行深度2m程度までのショートリップモデルに対応する。魚の乗りと根掛かり回避の要である「ティップの入り具合(入らなさ具合)」に北が最後までこだわったため、完成が最も遅れたモデルでもある

WSC-G68M
6ft8in/標準自重155g/適合ルアー7~21g/適合ライン10~16Lb/2万9000円+税
いわゆるパワーグラスモデル。フルサイズのスクエアビルを始め、引き抵抗が大きいクランクベイト全般に対応する。また近・中距離での使用を前提にワイヤーベイトやチャター系にも優れた適性を発揮。食ってから反転するまでが遅い、春先のスピナーベイティングにもお薦めのひと振りだ


レジットデザイン

2017/5/31

最新号 2017年11月号

 「秋は台風や朝夕の気温差などでバスの居場所が変わりやすい季節。だからバスを探せるルアー(=巻きモノ)が有効です」そう北大祐さんは話します。  今号では秋の巻きモノを大特集。木村建太さんはマグナムクランク、ブレット・ハイトはチャター系、市村直之さんはスピナーベイトなどを解説。なぜ巻きモノなのか、そしてなぜ全員がグラスロッドを使っていたのか。秋の釣果に直結するヒントが満載です。  JBTOP50では青木大介さんが今期2勝目を達成した桧原湖戦を詳細にレポート。連日リミットメイク率が90%以上となった初秋のスモールマウスレイクで、青木さんが頭ひとつ抜け出せた理由は何なのか。驚愕のテクニックが明らかになります。
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