モノの舞台裏
O.S.P JIG ZERO SIX “スリッパー”
カバー最奥に滑り込むシリーズ第6の刺客
石川正勝=写真、編集部=文
3/16oz、1/4oz、5/16oz、3/8ozのウエイト展開。全8色で850~950円+税
◆編集部タニガワによるインプレはこちら
対ヘビーカバー用スイムジグ
O.S.Pのジグシリーズの第6作はスイムジグ「スリッパー」。同社にはすでにスイムジグ「ウイードライダー」がラインナップされているが、両者にはどのような違いがあるのか。そしてスリッパーとはどういったジグなのか。企画開発を務める麻生雅之さんに話を聞いた。
麻生「『スリッパー』と『ウイードライダー』は全くの別物です。ウイードライダーはその名のとおり対ウイードを想定したスイムジグ。ウイードをかわすための最低減のガード力でフッキングを優先し、水面下3~4mのウイードの上っ面を引きやすいようにヘッドウエイトも軽いところで3/8ozと、琵琶湖などに照準を合わせて開発されています。
対して、スリッパーは対ヘビーカバー専用に設計したスイムジグです。これまでのスイムジグでは撃ち込むのに気が引けてしまいそうな濃いブッシュにスキッピングでねじ込み、カバー内を横方向にひくことで、テキサスリグやバックスライド系など、縦方向のアクションには反応しないバスに口を使わせることができます。とくに、バスの食性が甲殻類よりも小魚(横方向に泳ぐベイト)によっている春や秋、シェードへの依存度が高い夏場も有効ですよ」
麻生さんは自ら開発を行なったスリッパーを用いて、TBCトーナメントでも優勝を飾っている。
麻生「カバーの濃い利根川で有効なテクニックとしてシャッドテールワームのノーシンカーがありました。しかし枝がらみやワームズレ、スキップ時の軌道のズレなどストレスがありました。それらに反応するバスにアプローチするのに、ストレスのないルアーが必要だなと感じていました。かといって利根川専用ではなく印旛沼や牛久沼のアシやガマ、相模湖などのオーバーハング、亀山湖のウッドカバーや立ち木など、あらゆるカバーを攻略することができます。スキッピングでカバーに滑り込ませ、目で見えるレンジを引いていたルアーにバスが飛び出し、フッキングを決めてカバーから引きずりだす……。よく釣れるのはもちろんなのですが、これら釣りの動作自体があまりに楽しすぎて、気づいたら1日中こればっかり、なんてこともしばしばです(笑)」
煮詰められたディティール
では、スリッパーの細部を見ていきたい。まずはブラシガード。ヘビーカバーを攻略するためのジグとあって、ガード力は強め。ヘッドウエイトに対して最適な本数のガードが装着されている。ガード根元には土台が設けられており、これが支えとなってガード力が向上している。
麻生「ガード力を弱めてもいいレベルのカバーであれば、ブラシガードを抜くのではなく、ガードの根元でハサミやラインカッターでカットしてもいいと思います。シチュエーションに応じてチューンするのも面白いです」
ヘッドには比重が低いビスマス合金を使用。体積当たりのウエイトが軽いため、キャストの際に水面にヘッドが突き刺さりづらく、スキッピングがしやすくなっている。また、エッジの立った三角形のフィッシュシェイプのヘッドは高いすり抜け性能を持ちながらもあえてカバーにスタックさせることもでき、フォールさせてからロッドワークで鋭く動かしてやれば水中で左右にダートするのも特徴。ただ巻いてくるだけではなく、さまざまな誘いのバリエーションを出せるのが魅力だ。
シリコンスカートは広がりやすくなっており、カバーを乗り超えたときなどに「ふわ」っと生命感のあるアピールをしてくれる。

宿命だったトレーラーのズレを大幅に軽減
スイムジグをスキッピングなどで多用していると、必ずと言っていいほど起きるのがトレーラーのズレである。せっかく最高のキャストがカバー奥に決まっても、トレーラーがズレてジグの泳ぎが崩れてしまっては、死にキャストになってしまう。
そこでO.S.Pが採用したのが、フック根元に設けられたペグホールである。キープ力の高い2点のワームキーパーに加え、ワームをセットした状態のペグホールに爪楊枝を刺し通してカットすれば、どんなに激しくスキップを繰り返しても、ワームが後ろ側にズレてしまうことがほぼ皆無になる。これで、ワームのズレを気にせずに思い切ったスキッピングが可能だ。

麻生「トレーラーにおすすめなのがドライブシャッド4.5inと4in。まずはピンクやホワイト、チャート系などの視認性に優れたカラーが使いやすくておすすめです。常に目視でジグが見えるレンジで引いて、トレースコースの調節などをしたいからです。
また、強波動でアピールしたいときはリビットなどのトード系、ジグストなどロッドワークで誘いたいときはポークやチャンク系、ドライブビーバーなどのホッグ系もマッチします。トレーラーの種類次第でアピールの強さや質を自在に調節できるのも、スイムジグの魅力です。
ベストタックルは足場の高さやカバーの度合いにもよって変わりますが6ft6~8in程度のミディアムヘビークラスがおすすめです。ピッチングよりもサイドハンドキャストのほうが力強いスキッピングがしやすく、カバー最奥までルアーを届けることができるので、しっかりとしたフッキングパワーとキャストのしやすさを兼ね備えたモデルがいいでしょう。
とにかく釣れるうえに楽しい釣りなので、皆さんぜひスリッパーでスイムジグにどっぷりハマっちゃってください」 B
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■O.S.P
https://www.o-s-p.net/
2019/11/1