サイト・ビー by Basser
バサーをつなぐウェブメディア

ライフジャケット着用体験レポートin海上保安庁

着けなければいけない理由を身をもって知りました

Basser編集部=写真と文
【ライフジャケット・釣り】
 夏を迎えると水辺で遊ぶ機会が多くなりますが、水の事故の報道も増えてしまう季節でもあります。かくいう私(siteB担当アライ)も先日釣りの最中にボートから落水。ライフジャケットの重要性を痛感したばかりなのですが、実はかつて海上保安庁で行なわれた着用体験会に参加したことがありました。ここではそのときの模様を掲載します。

この記事はBasser2015年2月号に掲載されたものを再編集しています。

プールでもパニック!

 2014年11月下旬、横浜の海上保安庁でライフジャケット着用体験会が開催され、つり人社のアライがその効果を身をもって体験してきました。

 10月から1月は釣りの事故が多発する時期で、海上保安庁でもこの時期重点的に安全推進活動に取り組んでいる。この体験会もその一環だ。私もライフジャケットを着用することが重要だということは理解しているつもり。だが、幸い今まで落水したことはないので、正直なところ、釣り場で水に落ちたときどんな状態になるのか想像できない。参加者はライフジャケットを借りてプールに飛び込むことができるという。これは体験しておかなければなるまいと、埠頭に停泊中の35㎜連装機銃搭載のしきしま型巡視船を横目に第3管区海上保安本部の門をたたいた。

 ライフジャケット体験のために案内されたのは屋内のプールだった。プールサイドには映画「海猿」でお馴染み、オレンジのウエットスーツを着た潜水士が待機している。万全のサポートのもと、プールに飛び込ませてもらえるようだ。ライフジャケットも浮力体内蔵のベストタイプ、自動膨張式の首掛けタイプや腰巻きタイプなどさまざまなものが用意されていた。

 私は、普段ボートのバスフィッシングでいつも使用している自動膨張式の首掛けタイプお借りすることにした。一緒に参加した人たちも思い思いのモデルを身につけ、水面から2mほどの高さの足場にスタンバイ。

 ここから飛び降りるとなると、結構な高さに感じてたじろいでしまったが、意を決してジャンプ。

 飛び込んだ瞬間、その勢いで頭の上まで沈みこんだ。ちなみに、このプールは潜水士が救助訓練を行なえるように水深が3mほどある。当然足が底につかない。周囲が水とあぶくに包まれ、自分がどの程度沈んだかわからない。実は事前の講習で、「まずは仰向けに浮いて呼吸を確保するように」と教えられていたのだが、そんな言葉はどこかに飛んでしまい、水中で大混乱!

 ここでライフジャケットが膨らんでくれれば問題ないのだが、なぜか自動では膨張せずさらに焦る。だが、膨張式のライフジャケットは手動で作動させるためのヒモが備えられている。アップアップしながらもこのヒモを引いて浮き上がることができた。

【ライフジャケット・釣り】 自動膨張式ライフジャケットを着けて飛び込んだ。膨張した浮力体が両脇の前に来るので、これを抱えることで仰向きの浮き姿勢が楽にとれる。たいていはホイッスルがついているので、岸まで声が届かない場合はこれを吹いて合図を送ることができる。水につかっても作動しない場合はヒモを引いて膨張させる。普段からヒモの位置を身体に覚えさせておこう

【ライフジャケット・釣り】 救助する側は、二次被害を防ぐため水に入らないのが原則。身近なものならペットボトルが効果的な浮力体になる。ヒモをつけ、落水者より少し先に投げてからヒモを手繰って、落水者につかんでもらう。落水者がバランスを崩さないようにゆっくり岸まで引き寄せる。落水者はペットボトルをお腹の前で抱えてラッコの姿勢になると安定して浮かんでいられる

 私はプールで、ライフジャケットを着け、しかも潜水士のサポートもあるなかで、ひとりパニックに陥るという情けない姿を見せてしまったが、決して他人事と思わないでいただきたい。今回私が感じた教訓はふたつ。

 ひとつは、落水時はパニックに陥ってしまう可能性が高いということ。釣り場での落水事故はほとんどが不意打ちで起こる。水の中で冷静にまずは仰向けになって浮いて、呼吸を確保しよう……などと考えられるだろうか。少なくとも私はまったく自信がなくなってしまった。普段、泳げるから大丈夫、人は浮くから大丈夫などと虚勢を張ってもまったく無意味だとわかった。ましてや、磯や消波ブロック、渓流の岩場などから転落すれば、身体をぶつけて骨折したり、頭を打って意識を失ったりすることも充分考えられる。寒い時期、とくに年配者は低水温で心臓が麻痺してしまうことも。こうなれば浮き上がる努力をすることは不可能。そんなときライフジャケットがあれば命が助かる可能性がグッとアップする。

 もうひとつは自動膨張式のライフジャケットも膨張しない場合があるということ。センサーが上手く水に浸らなかったり、ガスボンベの使用期限が過ぎていたりとさまざまな理由が考えられる。また、手動でのみ作動するタイプも存在するので自分のライフジャケットがどんなモデルか確認しておこう。定期的にボンベの点検(多くは1~3年を目安に交換を推奨)をして、いざというときにヒモを引けるように位置の確認と訓練をしておくことが重要だ。この作業に自信のない人や、子供に着用させるなら、浮力体内蔵のベストタイプなオススメだ。各タイプの浮き姿勢は写真を参照してほしい。

【ライフジャケット・釣り】 腰巻タイプの膨張式ライフジャケット。腰回りで浮力体が膨らむので、それを持ち上げて両脇に抱えることで写真のように仰向けの姿勢がとれる

【ライフジャケット・釣り】 ベストタイプのライフジャケットはもっとも確実に浮力を得られるが、落水時の衝撃で脱げてしまわないよう股ヒモをしっかりと結ぶのがポイントだ。仰向けの姿勢がとりやすいようバランスが調整されている。浮力体が岩などから身体を保護してくれるのもこのタイプの大きなメリットだ。渓流や磯など落水時に負傷のリスクが高い釣り場で着用したい

合言葉は「浮いて待て」


【ライフジャケット・釣り】 落水したときの合言葉は「浮いて待て」。力を抜いて仰向けになることで鼻と口を水面に出すことができる。靴は泳ぐのには邪魔だが、スニーカーは浮力があり浮かぶ助けになる。怪我をしないためにも履いているのがよい

 話は前後するが、プールでの実践に先んじて釣り場での事故のデータについて講義を受けた。水中に転落してしまったときは何よりもまず、水面に浮いて救助を待つことが重要だという。陸上の事故なら、誰かに見つけてもらえさえすれば救急車を呼んでもらえる。しかし、落水時は何をおいても本人がまず浮き上がる努力をしなければ助からないのだ。そのためにライフジャケットが大きな助けになる。軽装でも水中では非常に動きにくく、やみくもにもがくのはかえって生存率を下げてしまう。仰向けで浮き上がり、呼吸を確保するとともに心を落ち着かせ、救助を待つのが得策だ。合言葉は「浮いて待て」と教えてもらった。

 人間がいっぱいに空気を吸い込んだときの比重は0.98でPEラインとほぼ同じ。浮くだけならライフジャケットなしでも簡単にできるだろうと思っていたのだが、プールで実際に試してみると意外と難しいことがわかった。鼻と口を水面に出すために仰向けで背浮きの姿勢になる。このとき、全身の力を抜き、お腹を上げる。両腕は体の横に伸ばすかバンザイするように頭上に上げるとうまくバランスが取れるのだが、着衣で思うように動けないうえ、緊張で身体がこわばってしまった。力を抜いた姿勢が取れず、仰向けのまま腰が沈んでしまい、すぐに頭まで水につかってしまった。

「プールと違って海では波や風があります。救助が来るまで2~3時間浮いていなければならないケースもあります」と潜水士さん。しかし、ライフジャケットがあれば長時間浮いていることも楽になるはずだ。また、浮くこと以外にも労力を払えるようになる。冷静に状況を判断し、助けを呼ぶ。声の届く範囲に人がいる場合はいいが、そうでなければ携帯電話(118番)で救助を求めたい。通信機器は防水ケースに入れて常に身につけておくべきだ。低体温症を防ぐために体温を保持しやすい姿勢(膝を曲げて腕組みをする)がとれるのもライフジャケットを着けているときだ。

【ライフジャケット・釣り】 バスのオカッパリならともかく、冬から秋に磯や沖で釣りをするならアライのような薄着は非現実的。ウインドブレーカーやインナーを重ね着するはずだ。実際にゴアテックスの防水ウインドブレーカーに防寒ズボンという冬用装備で水に入った参加者に話を聞いてみた。「動きにくいうえに水を吸ってとても重いですね。とくにプールサイドから陸に上がろうとしても、服の内側の水が裾からなかなか出て行かないんです。体重が2~3倍になったように感じました。釣り場で落水したら自力で陸に上がるのはとても無理ですよ」。陸や船上からの助けが必要だ。助け上げるときには、まず服の裾をめくって水を出してやる

 毎年、全国各地の釣り場から落水の痛ましい事故が報道されている。楽しく釣りに行って命を落としてしまうことほど悲しいことはない。残された家族や恋人を深い悲しみの淵に叩き落とすことになる。ライフジャケットを着てさえいればと彼岸で後悔しても遅いのだ。釣りに出かける前に、ぜひ落水したらどうなるかを一度想像してみてほしい。そして命を守るためにライフジャケットの着用の徹底をお願いしたい。

◆平成30年2月1日から、ライフジャケット着用の「全面義務化」がスタートしています。国土交通省が試験を行って安全基準への適合を確認した印である「桜のマーク」が入ったモデルを必ず着用しましょう。詳しくは国土交通省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr6_000018.html)で確認できます。

 
表紙をタップすると試し読みができます hyo1

 最高峰のトーナメントの場でもたびたびウイニングルアーになるなど、近年カバーに潜むバスを脅かし続けている「カバーネコリグ」を特集。巻頭では折金一樹さんが笹川湖に挑みます。3.5~9inという幅広いワームサイズを使い分け次々バスをキャッチ。バスのコンディションとフィールド状況に応じたルアーローテンションが、ネコリグ用ルアーのサイズ選択の悩みを解消してくれます。
 また、「カバーネコリグ道場」では、川村光大郎さんが編集部員を生徒に招き、自身が世に広めたスナッグレスネコリグの使いこなし術を徹底解説。「ネコリグが釣れる理由は『強いのに、弱いから』」という理論に基づき、川村さんの解説どおりの状況に合った攻めを展開できれば、その名のとおりカバーのバスを「根こそぎ」つることができるはずです。
 また、今号は国内外のトーナメント情報も充実しています。JBTOP50では、早野剛史さんが勝利した開幕戦を詳報。試合の結果やテクニックだけでなく、早野さんが人生をかけて決断した河口湖から霞ヶ浦への移住と武者修行など、勝敗を決定づけた知られざるドラマに注目です。
 バスマスタークラシックでは、ジョーダン・リーが2連覇という偉業を達成しました。アメリカで長年トーナメントの最前線を取材してきた雨貝健太郎さんをして「30年にひとりの天才」と言わしめるスーパールーキーの強さの秘密に迫ります。



2018/5/24

つり人社の刊行物
並木敏成のThis is バスルアー
並木敏成のThis is バスルアー 本体1,600円+税 A5判並製148P
キミのルアーセレクト、本当にそれでOK? バスフィッシングに用いられるルアー、全18ジャンルを徹底解説。 あなたのルアーセレクトはココが間違っている!? 日本のフィールドに必要なのはフィネスだけなのか!? バスフィッシングの頂点を見…
つり人社の刊行物
並木敏成のThis is バスルアー
並木敏成のThis is バスルアー 本体1,600円+税 A5判並製148P
キミのルアーセレクト、本当にそれでOK? バスフィッシングに用いられるルアー、全18ジャンルを徹底解説。 あなたのルアーセレクトはココが間違っている!? 日本のフィールドに必要なのはフィネスだけなのか!? バスフィッシングの頂点を見…

最新号 2018年11月号

2号連続で綴るクランクベイト愛

釣るための道具としてだけでなく、所有する喜びも与えてくれるクランクベイトを2号連続で大特集。
かつてクランクベイトの魅力を伝えてくれた人気連載、『秘密のクランクベイト』が15年ぶりにカムバック。前編の今回は、クランクベイト誕生の歴史的・地理的背景から、名作ハンドメイドフラットサイドクランクの「あれから」を辿ります。
「巻いて勝てる男」・北大祐さんは、シャロークランクの釣りのイロハを生徒役の編集スタッフにレクチャー。パワー、レンジ別のクランクベイトローテーションや、さらなる1尾に繋がるアプローチ方法を説きます。
また、開発学さん、西根博司さん、塚本謙太郎さんら著名ビルダーがクランクベイトの内部構造や素材の特性について解説。ウッド、プラスチック、そして発泡素材など、マテリアルの違いでクランクベイトの個性はどのように変わるのか。そして名作ルアーを真っ二つに割り、その内部構造から見えてきたものとは!?
さらに、人気の水槽実験によるルアーアクション検証企画「気になるルアー、泳がせます」や、クランクオンリー勝負の「編集部対決」など見どころ満載。
読めば、今すぐボックを開けてクランクベイトを愛でたくなる一冊です。
[ 詳細はこちらから ]

オンライン書店Fujisan.co.jp

Basser最新号を、毎号、発売日当日までにお手元にお届けいたします。 (地域や交通事情によって発売日より遅れて届くことがございます。予めご了承ください。) 送料は全国無料。印刷版、デジタル版共に1冊から定期購読がはじめられます。 店頭で売り切れてしまったり、忙しくて買いそびれる、という心配もありません。
定期購読をお申し込みいただくと、デジタル版の最新号からバックナンバーまで約1年分が無料で読めます。

[ 定期購読はこちらから ]

 

NOW LOADING