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バスフィッシング全力投球!

北 大祐 B.A.S.S.デビュー直前インタビュー

「ルーキーの今しか感じられないアメリカのリアルを伝えていきたい」

北 大祐=写真、編集部=聞き手と原稿
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本音の目標


「今年の目標は、4回渡米して4回無事に帰国すること。それと4試合を無事にスタートして無事に帰着することです」

 B.A.S.S.オープンへの参戦が決まってから、記者はことあるごとに北大祐さんに目標を聞いてきた。しかし、返ってくるのは決まってこのような答えだった。エリート昇格やクラシック出場、あるいは3日目の決勝に残るといった成績のうえでの目標も、試合への意気込みも、ついに一度も聞かないまま2018年が終わった。

 年が明けて2019年になり、北さんは早々に渡米した。目的は、セントラルオープン開幕戦へ向けての最終準備。ちょうど車の乗り換えを考えていた伊豫部健さんから車を譲り受け、ボートをセッティングし、トレドベンドで3日間のプラクティスをして帰国。

50271392_731217837263978_4159960518083215360_n テキサスの空港へ到着

50543908_734336310285464_8695493957443911680_n 米国で使用する車を伊豫部健さんから譲り受け……

49793829_733626693689759_3628210014553899008_n ボートをセッティング。そしてプラクティスを行なうためトレドベンドへ出発

 そのタイミングでこのインタビューをする機会を得た。次に渡米するときはいよいよ開幕戦、気持ちの高ぶりから、これまでとは違った本音が聞けることを期待した。しかし……。

「変わりませんって(笑)。アメリカでまだひとつも試合を経験していない自分にとっては、とにかく無事に4試合を終えることが今年の目標です。渡米のたびにドキドキというかワクワクはらはらしていて、今はまだ成績どうこうの目標が立てられる状況じゃありません。これって16年前にJBマスターズに出始めたころの感覚に近いです。滋賀の自宅から初めて霞ヶ浦へ行ったとき、お金がなくて高速道路を使えなかったのでオール下道で行ったんですよ。国道1号をひたすら東へ走ったら着くやろと。そしたら東京のど真ん中で国道1号が終わっちゃって(笑)、当時の車にはナビが付いてなかったし、スマホもないしで途方に暮れたなァっていう、あのころの感覚をアメリカでもう一度味わってる段階ですよ、今は」

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「勝ちパターンが見えてしまう」


 北さんが渡米を決めた動機のひとつに、「日本の釣り場で体験できることは粗方してしまった」という思いがある。たとえばJBの試合、「自分が必ず勝てるという意味じゃありませんけれど、開催地と時期が決まればその時点で優勝・上位のエリアとパターンがわかるようになってしまった。そして実際に試合の結果が出ても、優勝・上位のエリアとパターンが自分の想像の域を出ることがなくなってしまったんです。この釣り場でこの時期ならそうなるよな、という……」

 これがビッグマウスでないことは、北さんの戦歴が証明している。JBではTOP50で優勝4回、年間タイトル2回、クラシックとエリート5も勝ち、マスターズの年間タイトルも2度獲得してグランドスラムを達成している。

 そしてBasserオールスタークラシックの連覇。これは、ただ2度勝ったという数字以上の価値がある勝利だった。

dsc_5072a2日間を巻きまくって2連覇を勝ち取った北大祐選手。その模様はDVD『Basser Allstar Classic2017 the Limit Three』に収録されています

 自身が最も好む“巻きモノでバスを引っ張って釣るスタイル”と、それを追究することで生まれた“流波理論”による勝利は、秋の利根川水系が北大祐によって2年続けて「型にハメられた結果」でもあった。「勝ちパターンが見えてしまう」「日本の釣り場で体験できることは粗方してしまった」というのはこういうことだ。

海の向こうにあったドキドキとワクワク


 北大祐というニンゲンは競技者としての純度が低いのかもしれない。多くのトーナメントアングラーは、競技者であるのと同時にひとりの釣り人でもあるわけだが、北さんの場合はほかのトップコンペティターに比べて釣り人の部分の比率が高いのだ。たとえば、優勝・入賞しないと食うものも食えず、どんな釣り方もガムシャラにやるしかなかった20代。そのころにはできたこと(たとえばサイトフィッシング)も、「抜きん出て勝つために“引っ張る釣り”を追求する」と決めて30代を過ごしたことで、今はもう以前のスキルが失われてしまったのだという。

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「魚を見て釣る面白さが、今の僕にはわからなくなってしまいました。見えている現実以上に釣れることがないとわかる釣りに、僕はワクワクできない。少なくとも、自分の理論と感覚やイメージがガチッとハマって、でかい魚が連発したとき以上の興奮は得られません」

 こうした話や勝ちパターンが見えてしまうという“悩み”を総合すると、北大祐というアングラーがバスフィッシングに何を求めているのかがぼんやりと見えてくる。そして、その北さんにとって未開の地であるアメリカが、どれだけ魅力的に見えているのかも……。では、これまで数回の渡米で、アメリカに「それ」を見つけることはできたのか。

「去年のレッドリバー戦はコ・アングラー(ノンボーター)でしたし、こないだのプラ(トレドベンド)ではほとんど魚探がけしかしていないので、まだ何とも言えません。時期的に、こういう場所でこういう釣りになるやろな、っていうのは見えたつもりですけど、フィールドがでかすぎるし同じロケーションがいっぱいあるから、プラの時間がぜんぜん足りなくてとても絞り切れない……。“とても絞りきれない”とか、こういうことがすでに日本ではなくなっていたことなので、楽しいといえば楽しいのかも(笑)。それよりもいまワクワクというか冷や汗もののドキドキを味わっているのが、アメリカで過ごすことそのものですよ。何もできないし、何をするにも時間がかかるし、英語しゃべれないし……、なかでも“食”がキツいッスね。伊豫部くんみたいに肉があればOKってヒトが本当に羨ましい。自分には無理ッス。次に渡米したらトレドベンド入りする前に絶対に炊飯器を買わんと」

kimg2702インタビューの合間に編集部の近所にあるお蕎麦屋さんへ。和食を前にしてこの笑顔

別次元の現実


「これまでは、アメリカで頑張っている日本人選手がいると聞いても、まるで別次元の話みたいでした。当たり前なんですけどね、自分はアメリカで釣りをしたことがなかったわけですし、いまも試合経験はゼロなので。そんな自分がルーキーイヤーの今年、釣りに関して何かを伝えようとしても、言えることって薄っぺらだと思うんです。それって、すでに日本人の先輩方が何十年も前から感じて伝えてきたことだし、英語ができればB.A.S.S.のホームページにきっとぜんぶ書いてあったりするはずだし(笑)。

 でも、ルーキーのいまだからこそ、感じられて、伝えられることってあると思う。たとえば、1年前の自分に向けて。いま、あなたが“これってどうなんやろ?”と疑問に思ってることって、実際にやってみたらこうだったよ、とか。いま、想像もしていないこんなことが実はたいへんだよ、とか。

50054517_735380946847667_7384197865964306432_n利用予定だった宿が閉まっていたため、急きょ別の宿を探した。無事にWi-fi完備の宿が見つかりひと安心

50257545_735832910135804_9035419904295043072_n 50451854_735832940135801_6804785414566576128_n トレドベンドに到着し、釣具店でフィッシングライセンスを購入

50796990_738170586568703_882859716290543616_nトレドベンドでの最終日はあいにくの天候。安全第一を考え撤収の判断をした

 アメリカの試合って、B.A.S.S.エリートとか、今年から始まるBPTもそうだと思うんですけど、きらびやかで華々しい面しか日本には伝わってないと思うんです。だから、少なくとも僕には別次元の出来事のように思えていた。でも、それって現実の出来事なわけで、実際に体験してみると、食が合わないとか、無料の公共スロープは荒廃してて雰囲的になんか怖いとか、日本で車がトラブったらJAF呼べばいいけどアメリカではどうなるんやろとか、試合の開催地がド田舎すぎて近くに泊まるとこもスーパーも何もないとか、携帯圏外もWi-Fi飛んでないのも当たり前とか、いろいろあるわけですよ。そういうことを新鮮に感じられるのも、今のうちなのかなと。5年後には慣れてしまって、渡米前には別次元だったアメリカが、やがて“海の向こうの釣りをする場所”になっていって……。そうじゃない今だからこそ、現実を伝えるというのは、今年の自分がきちんとやるべきことのひとつだと思っています。向こうからいろいろ発信するために、毎試合Wi-Fiが飛んでる宿を探すところからのスタートですよ(笑)」

 今期B.A.S.S.オープン・セントラル地区で、北大祐に成績のうえでの目標がないのは本当のようだ。ただし、それは、「本気で試合をしない」ということでは決してない。「未経験だからどうなるかわからない」ということだ。そして今回、開幕戦を前に北さんの口から初めて聞けたことがあった。「5年後」という言葉だ。米国ツアーに挑戦する期間について、北さんが言及したのは初めてのことだろう。聞けば「5年、10年スパンでの挑戦を考えている」という。だからこそ北さんは、「ルーキーの今しか感じられないこと」をアメリカから伝えようとしている。各種SNSを通じて、別次元から発信される北さんの日常に、ぜひ注目してほしい。もちろん記者は、試合の成績にも期待してしまうわけだが。B

北大祐さんのSNS

Twitter:https://twitter.com/kita_daisuke



◆Facebook:https://www.facebook.com/kitadausuke723/


◆Instagram:https://www.instagram.com/daisuke.kita.5/

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 また、作シーズンで17年間に及ぶアメリカでの競技生活にピリオドを打った清水盛三さんのこれまでを、ライバルたちや当時の取材担当者の証言をもとに振り返ります。

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 特集は冬の定番・メタルバイブ!

 早野剛史さんによる「メタルバイブ道場」に始まり、成田紀明さんのマッディーシャローの攻略法、加木屋守さんのオカッパリアプローチなど、釣果に繋がる実例を多数紹介しています。


 

2019/1/30

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