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2017年B.A.S.S.エリートAOYレースの行方
今週末はいよいよレギュラー最終戦!

レイクセントクレア戦の見どころをアマケンが解説!

雨貝健太郎=写真・文
B.A.S.S.(齋藤静吾)、Gary Tramontina=写真

現ランキング首位はブランドン・パラニューク


 前回に引き続いて、今回もまた今期B.A.S.S.エリートシリーズのAOYレースについて、最新の情報をもとに解説しよう。

 エリートシリーズはNY州レイクシャンプレインでの第8戦を終了し、今週木曜(8/24)から始まるミシガン州レイクセントクレアでの第9戦を直前に控えている状態だ。本稿を執筆しているのが米国時間8/22(火曜)の朝。すなわち、あと48時間後には第9戦初日がスタートする。

 まずは現時点でのAOYポイントランキング上位の様子を見ていただこう。

■エリートシリーズAOYポイントランキング(第8戦終了時点)                                         
順位 選手名 獲得ポイント
1ブランドン・パラニューク729
2ジェイコブ・ウィーラー689
3ケーシー・アシュレイ689
4ジェイソン・クリスティー686
5グレッグ・ハックニー658
6オット・デフォー643
7エドウィン・エバース643
8ケビン・バンダム636
9ダスティン・コネル616
10ジョーダン・リー614

 首位はブランドン・パラニュークで、前回のシャンプレイン戦の前と変わらず。パラニュークは未知数だったシャンプレイン戦であわや優勝かという活躍を見せて最終3位でフィニッシュしており、108点を獲得して計729点までポイントを増やした。

amagai_palaniukPhoto by Kentaro Amagai
ブランドン・パラニュークがレギュラー最終戦を残してポイントランキング1位!


 2位には今シーズンからエリートシリーズに参戦している元FLWツアーのホープ、ジェイコブ・ウィーラーが入ってきた。ウィーラーもまたシャンプレイン戦4位という好成績で終えており、第7戦終了時のランキング5位から大きく浮上した形。首位パラニュークとの点差は40点とやや開いている。

saito_jacob-wheelerPhoto by B.A.S.S. / Seigo Saito
ランキング2位に浮上してきたジェイコブ・ウィーラー


 ウィーラーは「今年がエリート初参戦」と書いたが、ではルーキーかというと実は違う。というのも、B.A.S.S.はエリートシリーズにおけるルーキーの定義を「B.A.S.S.およびFLWでの総獲得賞金が50万ドル(約5,500万円)未満で、エリート参戦が初年度の選手」とルールに明記しているからだ。ウィーラーはFLWカップ(FLWのチャンピシップ戦)優勝を含む数々の上位入賞によって、1億円以上の賞金を獲得した状態で今期エリートシリーズに参戦した。したがって、エリート参戦初年度ではあるが、「ルーキー」には該当しないというわけだ。

 ちなみに、このルーキーの定義だが、これは2015年にROY(ルーキーオブザイヤー)を獲得したブレント・エーラーがFLWですでに2億円以上の賞金を稼いでいたベテラン選手であったことに対する批判から、その翌年新たに設けられたルールである。ここ数年、FLWからの移籍選手が相次いでいる状況を受けての新ルールと言っていいだろう。

 話を元に戻そう。現時点のAOYランキング3位にいるのはケーシー・アシュレイだ。前回2位にいたアシュレイは、シャンプレイン戦を35位という平凡な成績で終え、ポイントランキングをひとつ後退させた。といっても、アシュレイの獲得ポイントは689点で、2位のウィーラーと並んでいる。ポイント的にはウィーラーとアシュレイはタイである。にもかかわらず、ウィーラーが2位になっているのは、今期の総獲得重量においてアシュレイを上回っているからである。したがって、この2人は事実上のタイと考えていいだろう。

 そしてランキング4位のジェイソン・クリスティーは前回と変わらず。クリスティーはシャンプレイン戦を19位というまずまずの成績でフィニッシュしたものの、パラニュークとウィーラーの2人がシャンプレイン戦を揃ってシングル入賞したため、ランキングは4位のまま留まった。とはいえ、クリスティーのポイントは686点。ウィーラーとアシュレイの2人とはわずか3点しか違わない。つまり、2位から4位までの3人は僅差のダンゴ状態だ。頭一つというか半身ほど抜き出たパラニュークを、3名がほぼ横並びで追いかけているといった格好である。

KVDがAOYレースから脱落!?


 とここまで書いてきて、1人重要な選手が出てきていないことに気づくだろう。そう、シャンプレイン戦での活躍が大いに期待されていたケビン・バンダムである。KVDはなんとシャンプレイン戦を79位と大ゴケし、最新ポイントランキングでは8位へと落っこちた。過去のシャンプレイン戦での実績もあり、スモールマウスを得意にしているKVDがまさかここで大ハズシしようとは……。

saito_kvdPhoto by B.A.S.S. / Seigo Saito
KVDがシャンプレイン戦でまさかの失速。AOYレースから脱落!?


 ともあれ、この大ドンデン返しによって、KVDの今期AOY獲得が一気に遠のいたのは間違いない。現時点のKVDのポイントは636点。対して首位を行くパラニュークは729点で、その差は93点となっている。今週、セントクレアでの最終戦をKVDがもしも優勝すれば、110点が追加され、KVDのポイントは746点となる。KVDはセントクレアを「最も好きな湖」と自認するほど得意にしているので、今週末のステージでKVDがいきなり優勝トロフィーを掲げるという結末は大いにありえる。

 だが、パラニュークもまたセントクレアを得意にしており、前回2015年のセントクレア戦は2位であった。今回もパラニュークはそれなりの上位に入ってくるはずで、まして大ゴケするとは考えにくい。となれば、シャンプレイン戦終了時点でのパラニュークとKVDとの間のポイント差はさほど大きく動かないと思われる。

 すなわち、KVDは今期AOYレースから現時点で8割がた脱落したと考えざるをえない。あくまでも理論上ではあるが、今週のシャンプレイン戦を終えた時点での両者の間のポイント差が49点以内であれば、9月のAOYチャンピオンシップ戦でKVDが今期AOYを獲得するチャンスは残される。もっとも、それにはチャンピオンシップ戦でKVDが優勝かシングルフィニッシュし、反対にパラニュークが最下位近辺で終わることが条件だが……。

 というわけで、レギュラー最終戦であるレイクセントクレア戦を目前に控えた現時点での今期エリートシリーズAOYレースは、首位のパラニュークとそれを追う3名(ウィーラー、アシュレイ、クリスティー)に絞られたと言っていい。なかでも、パラニュークの初タイトル獲得の可能性はいよいよ濃厚になってきたと感じる。したがって、今週のセントクレア戦を観戦する上での注目は、何と言ってもパラニュークの動きである。

第9戦レイクセントクレアで起こりうる展開


 レギュラー戦(選手全員が出場する試合)の最終戦となるレイクセントクレアはミシガン州北端に位置するスモールマウスレイクである。前回のシャンプレインもスモールマウスレイクだったが、実際にはラージマウスが試合の流れを決めた。しかし、今回はそうはならない。セントクレア戦ではスモールマウスのみのリミットで20Lb超(最大で25Lb)のヘビーウエイトが期待できるからだ。したがって、今回は全面的なスモールマウス戦となる。


amagai_shipPhoto by Kentaro Amagai
セントクレアは五大湖の水系のひとつ。大型タンカーも往来する


 レイクセントクレアは五大湖のうちの2つ、ヒューロン湖とエリー湖の間をつなぐ川の途中に位置する自然湖で、面積1,114㎢。琵琶湖のおよそ4つ分と言えば、その広大さが分かるはずだ。周囲を五大湖に囲まれているので、地図上では小さく見えるが、実際は巨大である。

 が、今回のエリート戦はセントクレアと接続するすべての水路と水域がトーナメントウォーターとなる。すなわち、川を経由して到達可能なヒューロン湖とエリー湖までもが競技水域になるのだ。これは日本の感覚ではちょっと想像が難しいスケールである。

 たとえば、スタート地点であるセントクレア西岸からエリー湖の入り口へ行くまでの所要時間が、カームウォーターという条件付きで約50分。そこからエリー湖の人気スポットであるピーリー島までがさらに40分を要する。しめて1時間30分。しかし、これはあくまで天候が凪ぎであることが条件の最短時間である。

amagai_omoriPhoto by Kentaro Amagai
エリー湖の沖を釣る大森貴洋。これほど凪いだエリー湖は珍しい


 エリー湖はひとたび風が吹くと手がつけられない大荒れになることで知られている。ちょっと吹いただけで波高はすぐに1mを超えてくるのだ。こうなると、片道2時間超コースである。往復で4時間。当然ながら、実釣時間はその分だけ削られる。だが、エリー湖にはそれに見合う報酬がたしかにある。行けば1時間で20Lb超のリミットが揃う可能性もあるのだ。まさしくハイリスク・ハイリターン。それがエリー湖という選択肢である。

 同じことはエリー湖とは反対方向に位置するヒューロン湖についても言えるが、ヒューロンの釣り場は川を出てすぐのマウス近辺に集中しているので、エリー湖ほどのリスクはない。が、プレジャーボートが非常に多く(特に週末)、その引き波のために航行速度が落ちる。移動時間が読めないという点では同じである。

gary_palaniuk_huronPhoto by Gary Tramontina
パラニュークは2015年のセントクレア戦で2位。エリアはヒューロン湖だった


 過去の試合がそうであったように、今回のセントクレア戦においても、こうしたリスクを冒してまでエリーやヒューロンまで走るのかどうかの判断が戦略のカギになってくるだろう。これを考える上でのひとつ重要な目安は、本湖であるセントクレアの釣況である。セントクレアを釣った場合に期待できる最大重量が、エリーやヒューロンのそれともしも同じかそれ以上であるなら、あえてリスクを冒す必要はないことになる。が、2015年の試合がそうであったように、エリーやヒューロンの釣果はいつの時もセントクレアを上回ってきたのも事実だ。

 ところが、今夏のレイクセントクレアはどうも状況が違っているという噂もある。セントクレアで行なわれた最近のローカル戦で、優勝ウエイトが24Lbだったというのである。これがもし事実なら、今週のエリート戦はこれまでと状況がまったく違ってくるだろう。ほとんどの選手がセントクレアに留まり、1日17Lbを超える選手が続出するオンス刻みの接戦になる可能性が高い。が、こうしたタイト戦というのは、2日目以降の逆転が極めて難しい試合でもあり、一発巻き返しをねらう選手が2日目以降にエリーやヒューロンに走る展開も考えられる。

 ちなみに、ブランドン・パラニュークは2015年の試合でヒューロンをメインに釣っている。今回もしもパラニュークがやはりヒューロンへ走ったのであれば、セントクレアよりもヒューロンのほうがポテンシャルが高いとパラニュークは判断したということになる。しかし、ランキング2位のウィーラーおよびアシュレイに対してすでに40点差をつけているパラニュークは今回ムリに優勝をねらう必要はない。20位以内でフィニッシュできれば、仮にウィーラー(またはアシュレイ)がシングル入賞したとしても、ポイント差は10数点しか縮まらない計算だ。パラニュークとしては、20点以上を持って9月のAOYチャンピオンシップに臨むことができれば御の字である。

 今回のセントクレア戦で尻に火がついているのは現ランキング2位以下の選手たちだ。特にエリート参戦初年度でのAOY獲得を目指しているウィーラーは今回間違いなく仕掛けてくるはずだ。パラニュークの上位フィニッシュがほぼ確定であるとすれば、ウィーラーは是が非でもシングルに入って、パラニュークとの間のポイント差を少しでも縮めなければならないからだ。ウィーラーがいったいどのような戦略で臨むのか非常に興味深い。

日本人選手2人が置かれている状況


 最後に日本勢2人についても触れておこう。今シーズン低迷が続いている大森貴洋と清水盛三だが、現時点でのポイントランキングは大森99位(291点)、清水108位(192点)となっている。事態はもはやクラシック出場権(ランキング35位まで)がどうこうという次元ではなく、来期エリートの残留がどうなのかというレベルの状況だ。特に深刻なのは清水である。

 清水の場合、今週のセントクレア戦の結果にかかわらず、今期ランキングが自己最悪となることがすでに確定している。詳しくは今週発売される「Basser」を読んでほしいのだが、エリート創設(2006年)から参戦している清水の過去最下位ランキングは2012年の80位であり、今期ランキングが計算上それ以下になるのは確実だ。来期エリートの出場資格はランキング70位までと決まっているため、これには届かない。

amagai_morizoPhoto by Kentaro Amagai
セントクレア戦は清水盛三の今期最終戦。来期エリートの出場資格についての詳細は今月発売のBasser誌を読んでほしい


 しかし、エリート出場資格には一種の補欠枠がある。ランキング71位以下の選手を対象にしたもので、これまで出場した全シーズンの生涯平均ポイントランキングを算出し、その中の上位者から順に必要人数分を補充するのだ。実際、昨年はここから14名が今期エリート出場資格を得ている。昨年ランキング74位であった清水が今期出場資格を得られたのもこの枠からだった。今年も昨年同様に、清水がここから来期出場資格を得られる可能性はまだ残されているが、そのチャンスは正直なところごくわずかだ。各オープンシリーズのランキング上位者やルーキーなどから、来期エリート出場を棄権する者が何名出るのか次第である。正式に来期エリート出場者リストが発表されるのは今年10月初旬の予定だ。

 一方、大森貴洋については、来期エリート出場は問題ないだろう。大森の今期ランキングが自己最悪となるのは避けられそうになく、「ランキング70位以内」という来期エリート出場要件をクリアできないのも確実である。だが、過去の平均ランキングが推定38位とかなり上位である大森は、過去の例から考えて上記した生涯平均ランキングの補欠枠で真っ先に拾われるはずだ。

 9月のAOYチャンピオンシップ戦はランキング上位50名のみが参戦できる特別戦のため、大森と清水に関しては、今週のセントクレア戦が今期最終戦となる。さらに言えば、清水に関しては、万が一にも来期出場資格を喪失した場合(上記した通り、それが正式に分かるのは10月以降)、今回のセントクレア戦がエリート最終戦になってしまう可能性すらある。今週木曜(日本時間で木曜夜)から始まるセントクレア戦に、皆さんの声援を届けてほしい!

 エリートシリーズでは、毎日のウェイインの模様に加え、2日目以降は上位4〜5名の実釣がB.A.S.S.公式ウェブサイトで生配信される。筆者も自分のTwitterで最新情報をアップする予定だ。


▪️B.A.S.S.公式ウェブサイト(英語)
bassmaster.com

▪️B.A.S.S.エリート第9戦ウェイイン生配信
bassmaster.com/video/lake-st-clair-weigh
Day1配信開始:7/25 4:15am
Day2配信開始:7/26 4:15am
Day3配信開始:7/27 4:15am
Day4配信開始:7/28 4:15am

▪️B.A.S.S.エリート第9戦試合実況ライブ
bassmaster.com/video/bassmaster-live-st-clair
Day2からDay4まで3日間、毎日第1部と第2部に分けて配信
第1部配信: 20:00〜23:00pm
第2部配信:0:30〜3:30am

▪️アマケン公式Twitter
@AmakensNote


2017/8/23

最新号 2018年1月号

2017年を締めくくるバスとの出会いは「中層で」  もうすぐ冬の入り口、12月。年内最後のバスを釣るためのカギは「中層」にありました。  特集の冒頭では、山岡計文さんが「バスはボトムにいない。だから私はボトムを釣らない」と、自身の経験に基づく「ボトム否定論」を展開。  さらに北大祐さんはディープクランク、平川皓也さんはジャークベイト、川村光大郎さんはラバージグ、伊藤巧さんはネコリグと、4者4様の中層攻略テクニックを公開します。  台風の影響でワンデイ戦となったJBTOP50最終戦では、青木大介さんに密着取材。年間タイトルに王手をかけながらも正午までノーフィッシュ。吐き気をこらえ、苦しみ抜いた戦いの記録は必見です。そして後日のインタビューでは「驚きの展望」が語られます。  また、この霞ヶ浦戦を勝った関和学さんのパターンを追加取材を行なって詳報。ベイトフィッシュに着目した、消波ブロック帯の「中層」を釣る技は必見!! 寒い季節の一尾に繋がるヒントが盛りだくさんです。
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