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残り3戦となった今期B.A.S.S.エリート
アマケンがAOYレースの見所を解説!!

今週末のレイク・シャンプレイン戦(第8戦)はブランドン・パラニュークVS.ケビン・バンダムに注目せよ

雨貝健太郎=文 text by Kentaro Amagai
B.A.S.S.(齋藤静吾)=写真 photographs by B.A.S.S.(Seigo Saito)
 本稿執筆現在(7/25)、今期B.A.S.S.エリートシリーズは全10戦のうち第7戦までが終了した。シリーズはこの後、NY州レイク・シャンプレイン(7/27~30)での第8戦とミシガン州レイク・セントクレア(8/24~27)での第9戦の2試合を経て、ポイントランキング上位50名だけが参戦できるAOYチャンピオンシップ戦(ミネソタ州ミルラクスレイク)で大ラスを迎える。

 今期年間チャンピオンであるアングラー・オブ・ザ・イヤー(AOY)を誰が獲得するのか、その行方のほうもこれからのラスト3試合の結果しだいである。今期エリートシリーズAOYを巡る攻防はこれからが本番と言っていい。

 本稿では、そのAOYレースを観戦する上での見どころをかいつまんで解説してみたい。


今期AOYレースの主役たち

 まず表を見ていただきたい。これはNY州セントローレンス川での第7戦終了時点(7/23)でのAOYポイントランキング上位の順位だ。すなわち現時点での最新ランキングである。

■エリートシリーズAOYポイントランキング(第7戦終了時点)                                         
順位 選手名 獲得ポイント
1ブランドン・パラニューク621
2ケーシー・アシュレー613
3ケビン・バンダム604
4ジェイソン・クリスティー594
5ジェイコブ・ウィーラー582
6グレッグ・ハックニー556
7エドウィン・エバース555
8ジェームス・エラン554
9マーク・デイビス542
10オット・デフォー539

 現在621点でランキング首位につけているのはブランドン・パラニュークだ(アイダホ州出身、29歳)。

palaniuk_002photo by B.A.S.S./ Seigo Saito

 アマチュア戦であるフェデレーションシリーズから2011年バスマスタークラシックに出場を果たし、同年エリートに参戦を開始したパラニュークは、翌2012年のエリート・ブルショールズ戦で初優勝を決め、翌年の2013年エリート・セントローレンス川戦も優勝。アンダー30の若手選手の中で今一番注目を集めている1人である。

 そのパラニュークが残り3戦を控えた現時点で今期AOYポイントランキングをリードしているというのが現状。パラニュークという選手のスタイルは魚探を駆使したストラクチャー特化型であるため、どうしても成績にムラがあり、これまでAOYレースにがっつり絡んだことはなかった。実際、過去のポイントランキングでも2015年の10位が最高位であり、2013年には72位という下位でフィニッシュしたこともある。

 ところが、今期のパラニュークは過去に例がないほどのモメンタムを得ており、現在までに消化した7試合のうち実に5試合で決勝進出を決めている。しかも、うち第5戦のサムレイバン戦は優勝(自己3度目のエリート優勝)という絶好調ぶり。唯一、フロリダ州オキチョビでの第2戦で105位という大底を叩いたのが玉に瑕だが、今期は他の選手たちも全試合を上位フィニッシュできていないため、今のところポイント的に大きな失点にはなっていない。

 筆者の予想では、このブランドン・パラニュークが今シーズン自己初となるAOYを獲得する可能性が非常に高いと見ている。

 そして、このパラニュークのAOY獲得を阻む最右翼となりそうなのが、現在ランキング3位につけているKVDことケビン・バンダムである。

kvd_002photo by B.A.S.S./ Seigo Saito

 先週末終わったばかりの第7戦(セントローレンス川)を自己24度目のB.A.S.S.優勝で飾ったKVDは、すでに7回のAOYを獲得している史上最強の生きたレジェンドだが、今期はAOY獲得数をまたひとつ増やしかねない状況だ。

 KVDはデビュー以来24回に渡って続いてきたクラシック連続出場記録を2014年に途絶えさせて以降、70位以下の下位を連発するなどかつてないスランプに喘いできた。ところが、今期はどうも様子が違う。

 開幕戦(テネシー州チェロキーレイク)62位、第5戦(テキサス州サムレイバン)52位とこれまで2試合を平凡な順位で終えてしまったKVDだが、中盤戦に入ってからは一転して圧倒的な強さを見せている。第4戦(ミシシッピー州ロスバーネット)2位、第6戦(アーカンソー州ダーダネル)3位、そして第7戦(NY州セントローレンス川)優勝という成績はまさしく絶頂期を彷彿とさせる勢いである。今期のKVDは過去数年とは一味違う。

 首位パラニュークと3位KVDとの間のポイント差は17点。これは最後のチャンピオンシップ戦を含めた残り3試合の結果如何で簡単に入れ替わってしまうほどの僅差である。この後の残り3試合では、パラニューク、KVD両者ともにたとえ1日たりともミスが許されないだろう。

エリートシリーズのポイントシステム

 ブランドン・パラニュークとケビン・バンダムの2人以外に今期AOY獲得が可能性としてありえるのは、ポイント差から鑑みて現ポイントランキング10位のオット・デフォーあたりまでだ。現在、621点でリードしているパラニュークと539点で10位にいるデフォーとの点差は82点。残り試合数が3戦であることを考えると、このあたりがギリギリとなる。

 エリートシリーズでは1試合で獲得できる最大ポイントが110点と決まっている。各試合の優勝者に対して110点が付与され、以降、順位が下がるごとに1点ずつ減じたポイントが与えられる。たとえば、50位であれば61点が与えられる計算だ。

 現状、エリート出場者数は109名であるため、1試合につき最大で108点のポイント差が選手間で生じる可能性がある。だが、AOYレースに話を限定すれば、ランキング上位にいる2人が優勝と最下位で終わる確率は相当低い。現実的には、両者の間のポイント差は1試合につき1~40点に収まるというのが過去の例である。

 すなわち、109名で競い合うエリート通常戦においては、1試合につき最大40点、2試合で計80点までのポイント差しか生じないことになる。現ポイントリーダーのパラニュークと82点差が開いているランキング10位のデフォーが今期AOY獲得のボーダーと書いたのは、これが理由だ。

 ポイントシステムに関してもうひとつ付け加えておかねばならないのは、最後のチャンピオンシップ戦はランキング上位50名だけが参戦するという点だ。出場者数が50名であるため、選手間で生じる最大のポイント差のほうも49点まで減る。ランキング上位選手間の現実的なポイント差となると、多くても20点程度だ。つまり、最後のチャンピオンシップ戦では順位変動は限定的だということ。別の言い方をするなら、AOYはレギュラー最終戦となる第9戦終了時点でほぼ確定する可能性が高いのだ。

今期ラスト3戦で波乱!?

 ブランドン・パラニュークとケビン・バンダムの2人以外でも、たとえば現ポイントランキングで2位につけているケーシー・アシュレーには獲得ポイント的に言って充分に今期AOY獲得のチャンスは残されていると言っていいだろう。だが、この後の残り3試合の開催地とその特徴を考えると、アシュレーの勝ち目はかなり薄いと言わざるをえないのが筆者の正直な感想だ。

 まず何より、この後のラスト3戦とKVDの相性がよすぎる。

 エリート第8戦の舞台はNY州レイク・シャンプレイン(7/27~30)。第9戦はミシガン州セントクレア(8/24~27)。そしてチャンピオンシップ戦がミネソタ州ミルラクスレイク(9/14~17)である。この3戦に共通しているのは、アメリカ北部のスモールマウスレイクであるという点だ。ミシガン州出身のKVDにとって、北部ナチュラルレイクでのスモールマウス戦は完全な「ホーム戦」である。この3試合でKVDが大きなミスを犯す可能性は低い。

 このことは過去の戦績からも裏付けられる。エリートシリーズでは2006年と2007年の2回シャンプレイン戦が開催されているが、KVDは2006年の試合を9位で終えている。やはりミルラクスレイクで開催された昨年のチャンピオンシップ戦でのKVDの成績は10位。そして、地元ミシガン州のセントクレアとなると、過去2度のシングルフィニッシュ(2位と6位)があるほどだ。

 正直、KVDが今期ラスト3戦すべてでシングルフィニッシュしてしまう可能性もありえると筆者は考えている。もしもそのような展開になれば、それはもう他選手が追いつけないほどの圧倒的な大差でKVDが今期AOYを獲得することになるはずだ。

kvd_001photo by B.A.S.S./ Seigo Saito

 しかしながら、盤石に思えるKVDにも実は死角はある。それは意外にもセントクレア戦かもしれない。エリートシリーズでは2013年と2015年にセントクレア戦が開催されているが、KVDは2013年を31位、2015年に至っては63位の賞金圏外で終えているのだ。

 この2戦はどちらも本湖であるセントクレアよりも接続するヒューロン湖やエリー湖のほうが釣況がよかった試合だったのだが、KVDはセントクレア本湖を選ぶというミスを犯して自滅した。セントクレア戦はトーナメントウォーターが巨大だけにエリアの選択が非常に重要になる。今年もしもKVDが2015年と同じようなミスを犯した場合には、最後のチャンピオンシップ戦を前にKVDがAOYレースから姿を消すといった展開もありえるだろう。

 同じことはパラニュークについても言える。パラニュークもラスト3戦との相性は概して良い。特にセントクレア戦に関しては、2015年の試合をヒューロン湖でのビッグフィッシュパターンで2位で終えており、今回も期待がもたれる。チャンピオンシップ戦に関しても、昨年のミルラクスレイクでは11位でフィニッシュしているので、大きく外すことはないだろう。

palaniuk_001photo by B.A.S.S./ Seigo Saito

 パラニュークの場合、不安があるとすれば、それはシャンプレイン戦である。過去パラニュークは今回と同じ時期に開催された2014年のノーザンオープン戦(深江真一が優勝した試合)に出ているが、63位という平凡な結果で終えている。

 シャンプレインは基本スモールマウス戦であるが、上位進出にはラージマウスを混ぜたミックスバッグがカギになってくる。が、そのラージマウスが釣れるエリアはごく限られており、なおかつスモールマウスのサイズが期待できるエリアとも往々にして距離が離れている。巨大かつ荒れやすいシャンプレインにおいて、ラージマウスとスモールマウスの両立は常に問題となるのだが、だからといってイージーなスモールマウスのみを追えば、キッカー不足から順位は集団の中に埋もれてしまう。

 シャンプレイン戦の経験が1試合しかないパラニュークが今回どう戦うのかは未知数。ガッツリとハメてくる可能性がある一方で、平凡な中位で終わってしまう可能性もありえる。

 ひとまずの注目は、今週木曜(日本時間木曜夜)から始まるシャンプレインでの第8戦である。

ニューヨーク州とバーモント州にまたがるレイク・シャンプレイン


B.A.S.S.公式サイト:https://www.bassmaster.com/

筆者・雨貝健太郎
公式Twitter:秘密のアマケンノート



2017/7/25

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