田辺哲男先生のスピナーベイト道場、今回は正しい姿勢で泳がせるためのトゥルーチューンとクランクとの使い分けをレクチャー！
トゥルーチューン＆クランクとの使い分け
編集部＝写真・文、もりなをこ＝イラスト
田辺哲男先生のスピナーベイト道場、今回は正しい姿勢で泳がせるためのトゥルーチューンとクランクとの使い分けをレクチャー！編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ ※この記事はBasser2009年11月号に掲載されたものを再編集しています
講師＝田辺哲男（たなべ・のりお） 1958年７月９日生まれ。1980年代に本場アメリカのバスフィッシング理論やテクニックを吸収し、日本に持ち帰ったアングラー。1986年発行の本誌創刊号に「パターンバッシング」を寄稿。その内容は今もまったく色褪せることがない。1998年からB.A.S.S. に参戦し、自身が生みの親であるクリスタルＳを駆使して数々の実績を残した、理論派であり実践派。スピナーベイトをメインパターンにして初日2位にランクインした2015年のバサーオールスタークラシックが記憶に新しい。
生徒＝ヤマガタ小学校６年生の冬に、山形の城跡の堀でバイブラシャフトで釣ったのがスピナーベイトでの初バス。「雪が降ってる日に釣れるはずがないと思って、根掛かりしにくいから、という理由で投げてたら釣れました」。以来、地元ではスピナーベイト派だったが、千葉へ越してきてからはクランクベイト派に。ちなみに「ヤマガタ」は新人時代に付けられたニックネーム。『Basser』編集長。
生徒＝ササキ小学校６年生の夏に、広島の山間部の野池でデルタフォースで釣ったのがスピナーベイトでの初バス。「足もとのカバーから飛び出してきて食う瞬間が見えました。あのときの興奮は忘れられません」。以来、東京へ越してきてからも一途なスピナーベイト派で、一日中投げ続けることもある。2015年4月のH-1グランプリ新利根川戦でスピナーベイトを使って2位に入賞できたのはこの道場を受けたおかげ。
スピナーベイトとは……ブレード、ワイヤー、ヘッド、スカートで作られたルアー。水中で引くとブレードが回転し、光の反射と振動でバスを誘う。フックの前方にワイヤーがあるので根掛かりしにくい田辺哲男先生からの問③
ちゃんとスピナーベイトをトゥルーチューンできるか、キミたち？
Ｙ 釣って伸びてしまったら元の形に戻すのと、上から見てアッパーアームとロワーアームとフックが一直線に並ぶようにしてます。
見た目を元どおりにするだけではトゥルーチューンになっていないこともある
田辺 それ、間違いだね。トゥルーチューンにはなってないよ。スピナーベイトは、ヘッドとスカートとブレードの抵抗バランスで、まっすぐ泳いだり、左右に倒れ込んだりするわけだ。
田辺 その倒れ込みを矯正するために、まず手を加えるのはスカート。倒れ込みやすければ「スカートを間引く」。トゥー・ボリューミーな状態から５本、10本と引き抜いていくと、どこかの段階でブレードの抵抗のほうが勝って正しい姿勢で泳ぐようになる。
Ｓ そうすればほぼ解決するんでしょうか。田辺 それでも曲がる場合はあるよ。そういうスピナーベイトはセンターがズレてる。〝センター〞っていうのは見た目のことじゃなくて、リトリーブしたときのこと。じゃあ、正面から見て右倒し（ヘッドが左へ振れて、ブレードが右へ倒れた状態）で泳ぐ場合はどうする？
Ｙ え〜と……。田辺 アッパーアームを左へ……、と見せかけて右へ倒すんだよ。アイから上のアームをクイクイッて右に曲げてやる。 
Ｙ クランクベイトのトゥルーチューンとは逆のイメージですね。田辺 そう。「倒れて泳ぐ方向へアッパーアームを曲げる（倒す）」んだよ。
Ｓ ビックリしました。
田辺先生の答③正しいトゥルーチューンはまずスカートを間引いて、 ダメなら倒れる方向にアッパーアームを曲げる。
田辺哲男先生からの問④
スピナーベイトとクランクベイトはどう使い分ける？
Ｙ カバーがあればスピナーベイト、なければクランクベイトを投げます。
田辺 じゃあ、カバーといってもせいぜいレイダウンくらいのシンプルなものだったらどうする？ どっちでもいけるな、ってくらいの障害物の場合だよ。Ｓ スピナーベイトを投げます。それで釣れなかったらクランクベイトを試してみます。 田辺 そのとおりだよ。まぁ、どっちが先でもいいんだけどな。ただ、キミの場合は本当にクランクベイトも投げてんのか？ スピナーベイトばっかり投げてダメだ、と。そしたらクランクベイトをすっ飛ばして、いきなりソフトベイトを投げてないか？ 逆にスピナーベイトをすっ飛ばすことはないか、と。
Ｓ ス、スルドイ……。実はほとんどスピナーベイトしか投げてません。田辺 だろ？ 本当のところを言おうよ。〝自分はスッパーだ〞と割り切ってるならそれもありなんだから。俺が訊きたいのは、ふたつを使い分ける意識があるなら「少々のカバーでクランクベイトも投げてみてるのか？」「オープンウォーターでスピナーベイトも投げてみてるのか？」ってことだよ。それをやってないってことは、使い分けてない、ってことだ。Ｙ こういう状況ではスピナーベイト、こういう状況ではクランクベイトと、バスがどちらによく反応するか見分けることはできるんでしょうか。田辺 できない。事前に判断することはね。同じことは、たとえばラバージグとテキサスリグについても言える。ボリュームがあってスローフォールするラバージグに反応がよかった。すり抜けがよくてストンと落ちるテキサスリグがよかった。そういうふうに結果としては確実に差がつくけど、やってみないとわからない。Ｙ では、スピナーベイトでもクランクベイトでも釣れたとして、どちらがハマっているのか判断する基準はありますか？田辺 たとえば杭の横を通して釣れた、障害物を乗り越えた瞬間に釣れた、っていう状況じゃ、どっちのルアーでも釣れた可能性を否定できない。ハマってる目安は「どっちのルアーをバスが船べりまで追ってくるか」だな。
田辺 巻き物の１番いいバイトっていうのは〝船べりバイト〞なんだよ。バスが見つけたルアーを追ってる、ってことだから。ボート際でドスン！ ときたらそのルアーを投げ続けろ、と。間違いなく状況に合ってるから。田辺先生の答④両方試して、船べりまで追ってくる方をハマってると判断する。
……次回田辺哲男のスピナーベイト道場：第3回「ブレードについて知っておくべきこと」
スピナーベイト講座2016/05/25
