関和学さんがオススメする、霞ヶ浦×パトロールラッシュ
ステインウォーターの霞ヶ浦で、微波動・無音のスイムベイトが効く!
関和学=文、Basser編集部=写真
一般的にクランクベイトなど強めの巻き物を投げる機会が多い霞ヶ浦。
しかし、弱めのサーチベイトであるスイムベイトがとても有効だと関和学さん。
その関和学さんが作り上げたのが4inで根掛かりしにくいスイムベイト、パトロールラッシュだ。
実際にBasserの連載「オカッパリで行こう!」では、1日の取材で50㎝を筆頭にナイスフィッシュを複数尾キャッチしたこともあった。
今回はオカッパリで必携のルアーというパトロールラッシュの使い方をおさらいしてみよう。
ちなみにこの記事で紹介されたWALKER WALKER × Basserオリジナルカラーのパトロールラッシュが釣り人道具店にて販売されているので要チェック!
この記事はBasser2015年9月号に掲載された「オカッパリで行こう! 第87歩」を再編集しています。
パトロールラッシュとはどんなスイムベイトなのか?
パトロールラッシュ(ウォーカー・ウォーカー)
4in、14g(ボディー単体でのウエイト)





SEKIWA’s Tackle

ロッド:HCSC-66Mヘラクレス・フォースグランディス(エバーグリーン)
リール:Z PRIDE(シマノ・メタニウムHG×ZPI”)
ライン:バリバス・ガノアヴァンガード12Lb(モーリス)
表層を巻くだけでOK
霞ヶ浦での実際の釣り方
霞ヶ浦のスイムベイティング5ヵ条
1、リトリーブスピードは一定に
2、ルアーが見える水深(表層)を引けばOK
3、ここぞというスポットにはコースを変えながら5回以上通す
4、コツコツ……、という前アタリは無視して巻き続ける
5、きっと釣れるから一ヵ所で粘らずにテンポよく歩く!







こちらの動画の前半で関和学さんがパトロールラッシュのプロトタイプでバスを釣っています。雨天のローライトのため、チャートカラーをセレクト。水没した階段の下側を通してバイトさせています。
※動画は、この記事の取材より1年前、2014年9月号の取材時に撮影されたものです
WALKER WALKER × Basserオリジナルカラー、”満月ちゃん”が泳ぐようすもアップされています。水中での視認性が高いのがよくわかります。
広い霞ヶ浦の釣りに巻きモノは欠かせない
四半世紀も霞ヶ浦で釣りをしている僕なので、この水系は人並以上に熟知している。けれど、だからといってピンスポットをライトリグで撃つだけで満足な釣果が得られるかといったら、そんなことはぜんぜんない。どうしたって巻きモノが必要になる。ヨコ方向の動きに対するバスの反応がどうこうの話ではない。霞ヶ浦は広いので、エリアを効率よくカバーする釣りもしないと、魚がいない場所で一日中粘ったりすることになりかねないからだ。

霞ヶ浦の巻きモノといえばクランクとスピナーベイトが二大巨頭だろう。これらのルアーについては、この連載でも何度も触れてきた。結論として霞ヶ浦では、「波動が弱めの巻きモノが効く」傾向がある。クランクを例にするとわかりやすいかな。バグリーBシリーズのような、浮力が強くてワイドウォブルなタイプは、霞ヶ浦では意外なほど効かない。障害物回避の面でスクエアビルを必要とするほどのカバーが少ないこともあるが、一番の原因は波動が強すぎることにあると僕は思う。
これも以前書いたことなので過程を端折って書くと、霞ヶ浦の水の透明度はマッディーではない。雨などによって濁りが発生することはあるが、平時の透明度は、言ってもせいぜいステインウォーターだ。
僕が「霞ヶ浦マッディー説」を疑ったのは、ひらひらロール系のFSRや、ぬめぬめ系のワイルドハンチといった、波動が弱めのクランクでよく釣っているという事実からの逆算だった。気づいて先入観が取っ払われてしまえば、なるほど霞ヶ浦はジャークベイトやI字系もよく釣れるフィールドだった。
そのサーチ性能を疑え
バスのチェイスを視認できるクリアウォーターと違って、ステインやマッディーウォーターでは、バイトを得ることでしかそこにいるバスの存在に気づけない。これは怖いことだ。サーチベイトで広く探ろうとして一生懸命投げているそのルアーがバスのお気に召さないものだったら、正解にどんなに近づいたとしても、その事実にアングラーは気づけないからだ。
遠投が利いて、リズムよく巻けて、アピール力を備えているルアーがサーチベイトなのではない。効率よくバスの存在を確認できてこそのサーチベイトだ。フィールドの規模や状況によってはライトリグがその役割を果たすことだってある。
広い霞ヶ浦を釣るうえで巻きモノ=サーチベイトは欠かせない。

だったら……と、僕は6、7年前から霞ヶ浦でスタッガーオリジナルやワンナップシャッドのノーシンカーを巻くようになった。これがけっこう釣れた。クランクやスピナーベイトに釣り負ける日もあるけど、釣り勝つ日もある。水温が急に下がったり濁ったりしたときはクランクやスピナーベイトが強い。一方でスイムベイトは、ハイプレッシャーやハイライトコンディション下でもバスを反応させられる。それぞれの得手を生かせば、隙のないサーチベイトのシステムが組めると感じた。
それと同時に僕は、自分で使うためのスイムベイトを手作りし始めた。当初は製品化など考えてもいなかった本気のお遊びルアー、それがパトロールラッシュの出発点だった。
巻き続けられることと根掛かりしにくいこと
クランクやスピナーベイトはアピール力が弱いものを選んでもそれなりの強さをもっているので、自作スイムベイトでは微波動を意識した。クランクやスピナーベイトで反応が得にくいときでもバスを探せるルアー(バスの好みに合いやすいルアー)が、霞ヶ浦のオカッパリで僕が理想とするスイムベイトだった。
それとなんといっても根掛かりにくいこと! リグって使うタイプのスイムベイトがこの点では無敵だ。オフセットフックを用いたノーシンカーリグなのでカバーの奥にだってぶち込める。けれどデカいオフセットフックには欠点もある。フッキング率が低いのだ。
そこを補うためには、ルアーの重量に対して硬めのロッドを選ぶ必要があるのだが、そうすると投げ続けるのがしんどいし、引き抵抗が小さいルアーを硬いロッドで引くと、何をやっているのかよくわからなくなる。ノーシンカーリグはバランスがシビアで、適正なリトリーブスピードの幅が狭いこともストレスだった。
「トレブルフックを搭載して、いかに根掛かりにくくするか」
「ストレスなく巻き続けるために、いかに安定性を高めるか」
自作するうえでの課題はこの2点に集約された。

「今日はよく巻いたなァ~」と思う距離は何m?
ちょっと横道に逸れます。たとえば「クランク特集」でルアー縛りの釣りをするとき、僕らプロアングラーはコレと決めたら日の出から日没まで延々とそのルアーだけを投げ続けることができる。一日中釣りをすることへの慣れもあるし、その釣りに最適化されたタックルを使わせてもらっているのも大きい。

なぜ、ほかの釣りに手を出してしまうのか。どうして巻き続けられないのか。それは、クランクを巻き続ける釣りが、身体の負担になっているからだと思う。一日やり切ったら、日ごろから釣りをしている僕だって身体のあちこちに張りがでるくらいだ。
釣りビジョンの「本気でオカッパリ」の北浦回で、完成に近づいていたパトロールラッシュで50cmオーバーが釣れてしまい、反響があったので製品化しようと思った(笑)とき、「巻き続けたい人をサポートできるルアーにしたい」という目標がひとつ加わった。
キレイにルアーを使い分けるのもいいけれど、僕らは取材を通じて「縛りの釣り」の爆発力も知っている。とくに巻きモノがハマったときはやっぱり凄いのだ。それを体験してもらうには、あらゆる面で「しんどくない」ことが大事。その点でも、微波動=引き抵抗が小さい巻きモノには存在価値があると思う。
ちなみに今回の釣行も記事になるとポンポン釣ってるように見えるかもしれないけれど、実際には5時から16時までサオを振り続けた。それで6バイト5フィッシュ。数はそんなに出ていない。でも型は50cmジャストを頭に44cmと40〜35cmが3尾。こんなふうにグッドサイズで揃っちゃうところが巻きモノ縛りの威力なのだ。

2016/7/29