サイト・ビー by Basser
バスフィッシングひと筋30年。バサーをつなぐウェブメディア

西山徹が試行錯誤した1979年のウインターバスフィッシング

温故知新でひも解くバス釣り(第1回)

西山徹=文
この記事では、『Basser』が創刊される以前、1979年から1981年にかけて月刊『つり人』で連載された「FLY & LURE 今月のおすすめフィッシング」を掲載する。
筆者は我が国のルアー&フライフィッシングのパイオニア、故・西山徹さん。
これは、今日のバスフィッシングの理論やテクニックが形作られる途上で、自らの頭で考え、方法論を確立していった西山さんの試行錯誤の記録である。



nishiyama01

なお、この記事が書かれたのは37年前であり、ルール、マナー、テクニック面で現在の常識と一部外れる部分がありますが、原文のままで掲載しています。どうぞ、そのことをご了承のうえお読みいただき、当時の西山さんが考えたこと、感じたことに触れてみてください。

筆者プロフィール
西山 徹(にしやま・とおる)
1948年、高知県生まれ。日本大学農獣医学部水産科卒業後、ダイワ精工(株)勤務。1983年から『THEフィッシング』のキャスターとして活躍したのち、フリーのフィッシングライターとなる。『つり人』へは1973年から寄稿。国内の魚類資源の減少を憂い、ルアー&フライフィッシングでのキャッチ&リリースを70年代後半から強く訴え続け、定着させた功績は大きい。1988年には、Basser ALLSTAR CLASSIC第2回大会に出場。ルアーフィッシングに関する著書多数。2001年に惜しまれながらこの世を去る。


今回の内容を簡単に……1979年当時、「バスは冬眠する」「水温14℃以下ではエサを食わない」という説があり、晩秋以降の低水温期にルアーでバスをねらうアングラーは少なかった。しかし、西山さんはエサ釣りからヒントを得てワームをスローに沈めてねらう釣りを思いつく。果たしてその結果は?

表水温13.5℃で
山中湖のバスはどう反応したか



 昨年の10月、正午過ぎだというのに気温が6℃しかない。霧雨煙る山中湖畔でバスのエサ釣りをながめていた。この日は、早朝本栖湖、午前中河口湖、午後から山中湖というスケジュールだった。本栖のブラウンは不発だったが河口湖ではワームでバスが出た。


 本格的に冬のバスと取り組んでみよう。でも、相模湖や津久井湖では過去に釣っている。もっと過酷な場所でなくてはダメだ。真冬に凍結し、遠浅ぎみのバスポンドがいい。そんなわけで富士五湖に目標を定め、著しく標高の違う河口湖と山中湖を比較しながら攻めることにした。今日がその初日だ。


 河口湖では、まだ数人のバスフィッシャーがトップウォーターで楽しんでいた。ところが、山中湖に着くと同時に雨、それにこの寒さだ。さすがに、ルアーフィッシャーは見えない。それにしても、バスの味覚にとりつかれたエサ釣りマニアたちはどうだ。この寒さにめげず、エビやドジョウでボツボツと釣っている。研究心旺盛で理論を重んじるルアーフィッシャーたちはどうしたのだ。惰性的に、いや経験的にモエビやドジョウを振り回すエサ釣りファンが、まだ釣っているというのに、ルアーマンは『こんなに寒くなっては釣れないヨ』とばかりに、諦め掛けている。


 バスは冬眠するとか、14℃以下になるとエサを食わないとか、釣れない理由づけは実に簡単にできる。たまに冬のバスをヒットさせると、冬くらいバスを休ませてやったらどうだとか、ファイトが弱かったろうといい、偶然だろうと片づけられてしまう。ボクも、昨年初めまでは似たようなもので、冬のバス釣りは小春日よりのヒマつぶしでしかなかった。しかし、よく考えてみると、初夏の産卵期にバスの親魚を間引くのが最も悪い。『初夏は盛期だ、バスのシーズンだ』ということで、バスに対する気遣いを忘れかけているバスフリーカーが多過ぎる。


nishiyama01a

この寒さで、なぜエサで釣れるのか

 冬眠と聞くと、ボクは、ヘビやクマのそれを連想してしまう。穴に潜り込み、エサを食べないでじっとしている。しかし、ヒレの発達した水中の魚たちがエサも食べずに眠っていられるのだろうか。まだ厳寒期ではないが、平野(山中湖)のバスはエサに食いついている。それも、仕掛け投入直後とか、風でウキが流される前後、仕掛けを引いた直後などに……バスは明らかにエサを発見し、生きていることを確認してから、追い食いをしているのだ。ところが、ルアーマンはとっくにあきらめている。ニンフを知らなかったドライフライフィッシャーが、ライズがないから釣れないとあきらめていたようなものだ。


 ボクは、水中でエサの状態を頭の中で描いてみた。投入後、エサはバスの目の前までスーッと沈んでいく。その瞬間、バスはカッとばかり食いつく。ここでアタリがないと、エサは一定の深さを漂う。風でスーッと移動したり、人為的に少しでも動くと、バスは再びエサを襲う。エサ釣りのウキに現われるアタリは、おおむね共通している。


 ルアーとの違いはどうか。ルアーは本物のエサではないという決定的な違いがある。しかし、もっと違うのは水中での動きではないだろうか……。激しく左右に尾を振る、急速に浮上する。エサの動きとは、あまりにも違うではないか。エサは弱々しく沈み、ゆっくりと水平に移動し、再び弱々しく沈む。スローシンカーで、アクションがほとんどないのだ。しかも、バスにとって本物の歯ざわり、柔軟性を備えている。頭の中で次々とイメージが交錯する。アメリカの冬はジグだと聞いた話、入鹿池でのバスフィッシング、冬の津久井湖で、スローシンカーに改造したフラットフィッシュで次々とランカーをヒットさせたこと…etc。


結局、ワームしかないと判断する

 イメージに合うルアーとしてバイブレーションシンカー、シンキングミノー、ワームをリストアップした結果、平野の湖底には藻が多いことを考慮しワームしかないという結論に達した。ワームは藻に強く、オモリのコントロールでスローシンカーになる。何よりもワームと思わしめたのは、本物らしい柔軟性にある。


 ボートをワンドの中央に出し、魚探で最深部をチェック。エサ釣りでよく釣れている人のウキ下を観察すると、だいたい3m。まず、標準的なシンカーでそこまでストンと落としてみた。すると、ワームがそこに着くと同時にココーン、ゴゴン! いや、当たるわ当たるわ、驚いてしまう。3投に1度はココンだ。しかし、すぐにワームを離してしまうため、5回のアタリに対して1発くらいしかヒットしない。しかも、着地と同時にアタリがないと、ワームはすぐに藻にからんでしまう。シンカーが重すぎて、ワームが藻の中にまで沈んでしまうのだ。


 思いきってシンカーをはずしてみると、今度は追い風方向しかアタリが取れない。ラインが受ける横風で、ワームが浮いてしまうのだ。フライのベストからニンフ用のスプリットショットを取り出し、あれこれウエイトを変えてみるうち、どうやらバランスがとれてきた。クロスウインドで投げ、ワームにチョンチョンとアクションをつけながら風に流してやる。すると、次々といいアタリが伝わり、28~35㎝級が入れ食いに近い。『そうだ、これなんだ!』と、思わず心の中で叫んでしまった。湖底の藻面に付くバスの行動と、ユラユラと沈むワームのイメージが完全に一致している。


nishiyama01b

 太めのバスの腹にストマックポンプを入れてみると、巻貝とヨシノボリ、オイカワが出てきた。まだバスは眠っちゃいない。11月以降は、無風で快晴の暖かい日しか釣れないなんていったのはだれだ。トップウォーター、ディープダイバー、そしてワーム……教科書どおりの釣りしかしなかったのはだれだ。クランクベイトにしてもバイブレーションにしても、そしてワームでも、アメリカで見たバスプロたちのテクニックは教科書どおりではなかったじゃないか。明らかに、釣り場とシーズンんぼ特性に合わせて、1人1人が独特のテクニックを身につけていたではないか。まだまだ、ルアーには可能性があるぞ。トラウトのフライフィッシングとは少し違う、イレギュラーなテクニックがある。


そして1週間後、快晴の山中湖で…

 翌週の週末、僕ははやる心を押さえつつ、仲間3人と再び平野を訪れた。快晴でも、湖は着実に冷えている。表面水温12.7℃。でも、1℃足らずの水温低下など、まるで気にしない。仲間は不安気な表情だが……。


 ワームしかない。とにかくスローに沈むワームなのだと信じてボートを出す。エサ釣りはいない。もうあきらめたのか、ざまぁみろ! てな調子だ。


 ところが――アタリ数回、バラシ1、マイクロバスをフローティングミノーで1、これがすべてで、ボクはボウズ。やっぱりダメか、14℃前後の水温がバスの限界なのか? 『本当に先週釣れたんですか?』、『もうバスはムリなんですよ』とほざく仲間の言葉は、1つ1つズシンと胸につき刺さる。


 ところが、ところが――この日、先週のボクの話を聞いたハーディ氏(昨夏、アメリカでボクといっしょにバスを釣った人)は、山中湖の別地区でバスの入れ食いをしでかしていた。『ワームはよくなかったけど、シンキングミノーをほっぽいておいてボートをこぎ始めるとバスがヒットするんだ。ところが投げて引いたらダメ。沈めておいてトロールすると、なぜかその瞬間にヒットする』というのだ。


 そのときボクは、場所がたまたまよかったんだろうと思いながら、何となく疑問が残った。次の週末、ボクは河口湖で水温11℃にもかかわらず、バルサマックをトップウォーター的に操作してバスの入れ食いに出会うことになる。その状況は本誌2月号を再読していただきたい。この日はワームでもでたが、トップウォーターに連続ヒットということで、再びボクの頭は混乱してしまった。

2016/8/16

最新号 2017年10月号

夏から秋へ。難しい季節の変わり目を釣るためのロジック&テクニックが満載の一冊です。  巻頭の「オカッパリで行こう!」では、関和学さんがオカッパリへの熱い思いを語っています。連載100回を記念した50cmアップチャレンジは達成できるのでしょうか。  伊豫部健さんは今春にノーフィッシュの悔しさを味わった牛久沼にリベンジ釣行。水温、流れ、ベイトなどをキーワードに、伊豫部さんらしい釣りでリベンジに成功します。  田辺哲男さんは高水温期のメタルゲームを実践。メタルルアーの活躍の場は決して冬だけでないことを、自身の関東レコードフィッシュキャッチという結果で証明してくれます。  また、ケビン・バンダムがB.A.S.S.エリートシリーズの試合を制したテクニック「スパイベイティング」を西島高志さんが、9ft6inの超ロングロッドによるパンチング&ディープクランキングを松下雅幸さんが解説しています。  Basser ALLSTAR CLASSICの最後の出場枠をかけた「THE WILD CARD」なども見逃せません。本戦への切符を勝ち取ったのはいったい誰なのかに注目です。
[ 詳細はこちらから ]

オンライン書店Fujisan.co.jp

Basser最新号を、毎号、発売日当日までにお手元にお届けいたします。 (地域や交通事情によって発売日より遅れて届くことがございます。予めご了承ください。) 送料は全国無料。印刷版、デジタル版共に1冊から定期購読がはじめられます。 店頭で売り切れてしまったり、忙しくて買いそびれる、という心配もありません。
定期購読をお申し込みいただくと、デジタル版の最新号からバックナンバーまで約1年分が無料で読めます。

[ 定期購読はこちらから ]

 

NOW LOADING