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沢村幸弘が語るベイトフィネスの時流と必然 :第1回(全4回)

ボートでもオカッパリでも投げればわかる!

Basser編集部=写真と文
02この釣りのパイオニアでありスペシャリストである沢村幸弘さん。この取材では初日にボート、2日目にオカッパリで増水のカスミ水系に挑んだ

ベイトフィネスという言葉が定着して久しい。
なぜ軽量ルアーが投げやすいのか?
どんなところに気を付けてタックルを組めばいいのか?
ボートでもオカッパリでも、それぞれに大きなアドバンテージがあるという。
今回はこの釣りのパイオニアである沢村幸弘さんが、霞ヶ浦を釣りながらこの釣りのメリットを解説する。


この記事はBasser2012年7月号に掲載されたものを再編集しています。取材は2012年5月に行なったものです。

ボーリングの球と発泡スチロールの球


 ゴールデンウイーク明け直後の霞ヶ浦水系は、ゴールデンウイーク後半の雨、とりわけ最終日の竜巻を伴う大雨の影響か水位が非常に高く、また、水位を落とすための放水により流れも非常に強かった。横利根川からボートを降ろした沢村幸弘さんが最初に向かったのは常陸利根川。強い流れと強めの濁りからプロテクトされた小見川との合流部付近のワンドから釣りを開始した。

03最初に向かったのは常陸利根川と小見川の合流付近。1/42oz=わずか0.7gのネイルシンカーを埋め込んだだけの極めてライトなネコリグを難なくキャストできるのは、わずかな重みでもしっかりと曲がるロッドとしっかりと回転するスプールを搭載したリールが合わさってこそである

「ポストスポーンの魚をねらっていくんだけど、まだ魚は回復していないと思う。積極的にエサを食うというよりも産卵場の近くで体力が戻るのを待っているのかも。こういうときはヘビーテキサスでガンガン撃つよりもライトリグで静かにアプローチしていくほうが効果的」

 そう言うと4.8inスイミーバレットの1/42oz(0.7g)ネコリグをサイドから、あるいはバックハンドでロッドにルアーウエイトを乗せてアシ際や護岸際にスパスパと撃ち込んでいく。撃って、探って、回収したら次のキャストに入っている。ベールを返さない。ベールを戻さない。低弾道で吸い込まれるような軌道を描くラインはスピニングタックルのような放物線を描かないためラインスラック処理も不要。探って巻き上げ、そのままキャストに移れるため、スピニングタックルとは比較にならない手返しのよさを実現する。また、キャスト精度も高く、静かな着水から張らず緩めずを保ったフリーフォールまでが淀みない動作となり、オーバーハングがあればそのままの動作でライトリグを気持ちよくスキッピングさせていく。


 簡単に見えるが、通常のタックルでは至難の業である。軽量ルアーの重みでしっかりと曲がるロッドと、そのわずかな力でスムーズに回転し、なおかつバックラッシュしにくいリールがあってこそ成立する。それがベイトフィネスの釣りだ。

05規則正しいリズムでスモラバやライトネコリグが護岸に吸い込まれるように軽くぶつかり、完全に勢いを失ったのち、ポチャ……と着水する。スピニングタックルのキャストでこれほどの精度を保つのはほぼ不可能であり、ラインスラック処理をすることもなく探れ、回収したのちにベールを返すことなく次のキャストに移れるため手返しが格段によくなる


「ベイトフィネスにコレという定義はないんだけど、強いていえば、個人個人がスピニングタックルでは扱いにくいと思ったルアーをベイトタックルで投げられることがベイトフィネスなんだと思う。扱いにくかったものが扱いやすくなる。だからキャストが楽しくなるんだよ」

 たとえば3inスイミーバレットのノーシンカーワッキー。あるいはグロッキー70SPといった小型プラグ。こうした軽量ルアーをストレスなく扱えるのはスピニングタックルだろうか。それともベイトフィネスタックルだろうか。多くの人は「そりゃスピニングタックルでしょう」と考えるだろう。しかしスピニングタックルの場合、1投ごとにベールを返す手間があるため手返しが悪くキャスト数が減る。距離の調節も難しく、瞬時にフェザーリングしてもラインコントロールは極めて難しい。カバー周りでも太いラインが使えないため、せっかく掛けた魚が獲り込めない。獲り込もうとしてラインを太くすればスプールからラインが膨らんでモモる。PEラインにすればカバーに絡むなどのトラブルが倍増……。パっと考えただけでも、こうしたストレスの数々が頭に浮かぶはずだ。

lure033inスイミーバレット+ワイルドモスキート#1の組み合わせによるネコリグは合計重量がわずか2g台。これもベイトフィネスなら扱える

「そうしたストレス、扱いにくさ、煩わしさを一挙に解決するのがベイトフィネスというわけ。だからとにかくキャストが楽しいし気持ちいい。これはバスアングラーなら共通の感覚だと思う。食わず嫌いはいると思うけど、実際にベイトフィネスタックルを使ってみて『こんなものは不要』と思える人はいないんじゃないかな。リールの構造とか難しい理屈はわからなくてもいい」

「そうだなあ。同じ大きさのボーリングの球と発泡スチロール製の球があったとして、これを転がそうとしたときに、どちらのほうが力が必要? そりゃボーリングの球だよね。重いんだから。これが通常のベイトリール。つまり重いルアーという強い力がないと回転しにくい。じゃあ、転がしたふたつの球を止めるとき、どちらのほうが止めやすい? 発泡スチロールの球だよね。軽いんだから。重いボーリングの球はずっと転がり続けようとする。これが慣性。止まらないから強いブレーキが必要になる。対して発泡スチロールの球がベイトフィネスリール。軽いスプールは少しの出力で回転してくれるから軽量ルアーも飛ぶ。でも軽いから回り続けようとはしない。これが低慣性。だからバックラッシュが起こりにくい。簡単な理屈でしょ? あとはとにかく数投してみれば絶対にわかる。もしも1日使えば、もうベイトフィネスなしではいられない身体になるから(笑)」

sif-SAJR13-1462607020沢村さんが発泡スチロールの球に例えたように、ベイトフィネス用リールのスプールは穴あけ加工などで非常に軽く作られている。このため軽量ルアーでも投げやすいのだ

 しかも使い手を選ばないとも沢村さんは言う。それまでベイトタックルで扱おうとすら思わなかったスモラバでキャストが決まるのはもちろんのこと、それまでスキッピングなんてできなかった、あるいは、たまにできても常にバックラッシュに悩まされていた中初心者でもバックラッシュを恐れずにライトリグをカバー奥へスキッピングできるようになる(実際、2011年のベイトフィネス道場の実践篇においても今回の取材時でも編集部員が体感している。こちらも機会があればこのサイトで紹介したい)。

 とはいえ、キャスト技術に難アリの中初級アングラーのためのお助けアイテムなのかといえば、もちろんそうではない。

「通常のベイトタックルでライトリグを難なく扱えるような上級者が手にすれば、行き着くところまで行ってもう何年も停滞していたキャストのスキルがまた一気に前進する。それこそ普通の人が使えばバックラッシュしてしまうシビアなブレーキ設定でも上級者ならさらに伸びのあるキャストが可能になる。つまり初心者が使っても、上級者が使ってもキャスティングのスキルが格段に上がる。だからキャストが楽しくなるってわけ」

01ベイトフィネスはボートアングラーだけのものではない。ましてやトーナメントアングラーだけが必要になる特殊な道具でもない。そして繊細ではあるけれどパワー勝負を捨てたわけではない。むしろその逆で、スピニングタックルでは獲れない魚を獲れる釣りでもある




 
 

 

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