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2012年JB TOP50霞ヶ浦戦を振り返る :第4回(最終回)

オールスター2連覇につながる青木大介の試合運び

Basser編集部=写真と文
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 今週末に開催を控えた2016年JB TOP50霞ヶ浦戦。年間ランキングが確定するレギュラー戦最後の試合でもある。
 2012年は今年と同じく10月の霞ヶ浦で最終戦が開催された。この記事ではBasser2012年12月号に掲載された当時のレポートを4回にわたって紹介する。
 今年の試合が始まる前に当時の選手たちがどんな釣りを展開したのかをおさらいしよう。当時と今回とで季節の進み具合や天候、水位などの違いを踏まえて釣り方や結果を比べてみてほしい。きっと秋の霞ヶ浦を釣るときの参考になるはずだ。


※記事内敬称略

変幻自在のフィッシングスタイル


 この記事ではBasser記者が同船取材した青木大介の霞ヶ浦戦を紹介する。TOP 50の顔といえる選手のひとりだが、2012年は初戦(早明浦湖)と第3戦(桧原湖)で予選落ちするなど不調が続いていた。結論から言えば、この試合も最終21位と青木としては平凡な結果に終わってしまった。しかし、このときの青木大介の釣りを改めて掲載するのには理由がある。この霞ヶ浦戦は、青木がトーナメントの戦い方を変えた、まさに転換期に行なわれた試合なのだ。後にBasser Allstar Classic 2連覇にもつながる青木ならではの戦い方がどのように生まれたのかに注目して読んでいただけたら幸いである。




 初日のスタート前、青木が気にしていたのは水位と濁り。プリプラクティスでは北浦上流域で手ごたえをつかんでいた青木だが、台風の影響でプラクティスに出られなかった前日に車で湖岸を回ったところ、ど茶濁りで強い流れが発生していたという。
「まぁこんなもんすよ。今日は今日で展開を詰めます。自分のスタイルは『その日ごとにベストなパターンを探す』こと。状況変化が激しい霞ヶ浦水系ではとくにその能力が求められると感じています。まだ最初のエリアも決めてないけど、それは水位と水を見て考えます」

 スタート後、北浦上流域はまだ濁りから回復していないと考えた青木は下流域へ。道中、スロー走行エリアで「また水位が上がってる……」とつぶやき、ファーストエリアにアウトレットの河口付近を選んだ。ショアラインにアシ原と垂直護岸があり、沖に沈み消波ブロックが入れられたエリアだ。「シャローにも、少し沖にもバスのつき場があって、魚の動きをてっとり早く探れるエリア」と青木。

 まずはラバージグ(ベイトフィネスカバージグ4.5g+ドライブクロー3in)でアシ撃ちを開始。試合2日前と比べて5~10㎝の増水を受け、セオリーどおりバスがシャローに差しているかどうか探ることから始めた。プリプラではアシは「全然ダメだった」という。

 青木が放つジグは、倒れ込んだアシの数㎝の隙間やアシ際ギリギリに水に溶けるようにほぼ無音で着水。明らかなキャストミスはまったくなく、ねらった着水点と現実の着水点の誤差は大きくて5㎝。倒れ込んだアシの、幅3㎝ほどの隙間に当然のようにジグが吸い込まれるようすからそのことがわかる。着水後やピックアップ時にカバーに引っ掛かる不手際もほぼない。「これで釣れなきゃバスはいない」と思わせる傍目からは完璧なプレゼンテーションだった。
 ジグの操作は多彩。アシ際にタイトにフリーフォールさせたかと思えば、次のキャストでは意図的にラインをアシに掛け表層でシェイク、その次は着水直後からラインを張り気味にしてカーブフォールを試す。わずか20秒の間に3キャスト(着水点は30㎝刻みでズラしていた)し、3つの誘いを試すシーンもあった。並みのアングラーであれば、これだけ目まぐるしくラインテンションやロッドワークを変えると、まともにリズムを作ることすらできないのではないか……。腕の延長といえるロッドワークと高精度のキャストに裏打ちされた圧巻の探りだった。試合開始からわずか30分、「その日のベストパターンを探す」スタイルは、エリアチョイスだけでなくルアーの操り方に至るまで徹底していることを思い知らされた。

jb-2-02a スタートの直後、ラバージグによるアシ撃ちで推定1200gをキャッチ。「やっぱり差してる」


 青木のファーストバイトは8時2分。表層のジグに1㎏アップがもんどりうって反応してきた。
「やっぱり差してる。しかも食い方からして活性も相当高い。プリプラのときは『アシは絶対ない』と思ってたけど、今日は釣れる」
 その直後、バイトらしきものを得るもフックアップせず。8時20分にアシのストレッチを撃ちきったため、隣接する沈み消波ブロックをスピナーベイト(ハイピッチャー3/8oz)で探り移動。
 このあとはシャローゲームを続けるのかと思いきや、下流域の杭を3.5gダウンショットリグ(4inカットテールワーム)で撃ち、ドックの外壁や水門を1.3gジグヘッドワッキー(5inスリムヤマセンコー)でチェック。抜かりなくさまざまなシチュエーションをノックする。

ミスで失った2尾


 青木が再びシャローカバー展開に戻ったのは9時15分。アウトレットのアシをラン&ガンしながら、今度は2.7gスモラバ(エグジグ+ディトレーター)も交えて撃つ。スモラバではラインを何かに引っ掛けての表層シェイクを多用していた。

 9時25分、700gクラスを掛けるも水面でバラシ。「アワセが遅れたかも」。
 9時52分、スモラバで350gクラスをキャッチ。「アシを撃ってる選手がほかにいない」。
 10時21分、ピックアップ時に猛チェイスがあるも食わせられない。
 11時2分、水門に隣接する垂直護岸をジグヘッドワッキーで探る。バスのボイルを確認するもノーバイト。「行く場所行く場所でバスがいる。あと一歩噛み合えば楽勝で揃いそう」。

 そして12時25分には北浦とアウトレットのインターセクション付近のアシを撃ち、またもピックアップ時にミスバイト。青木は「シャローをやり切ろう」と決意するが……。
 青木がデッキに崩れ落ちることになるのはこの20分後だった。アシ原のワンドの奥を撃っていた青木は、ポケットの奥にバスらしき影を確認。その魚が入ったと思われるカバーはボートから1mも離れていなかったが、青木がラバージグをねじ込みシェイクするとすぐに食ってきた。強烈なアワセとともに水面に出てきたのは1㎏アップ。速やかに抜き上げにかかるが空中でフックオフ……。これまでのミスで青木が感情を出すことはなかったが、このときは膝を着いて偏光グラスを外しながらつぶやいた。
「バスの動きは見えてる。釣り方も合ってる。なのに……辛い……」
 およそ30秒間青木は立ち上がらなかった。「まぁ、でも、やり続けるしかない」とキャストを再開するも、シャローカバーでこれ以上のバイトは待っていなかった。

jb-2-01 カバーで掛けた1㎏クラスを抜き上げ時にバラして「バスの動きは見えてる。釣り方も合ってる。なのに……辛い……」


 しかし帰着30分前、下流域の杭をヘビダンで撃ち800gをキャッチ。
「『バラした2尾が入っていれば』と思わせる1尾。全然ダメだ。何やってんだろ、俺……。今シーズンはずっとこんな感じ。外してるわけじゃないのに、あと一歩噛み合わない……」
 青木のウエイトは2420g(3尾)。初日を14位で終えた。

試合中の「人生初」


 試合2日目も青木に同船した。天候は晴天で、風速2.3mの北東風が吹いている。
 「魚の動きは追えてるだけに、今日は何とかしたい。展開は水位次第。今日は下がってると思う」とスタート前の青木。確認の意味を込め、まずは初日に1尾目をキャッチしたアシから釣りを開始。
「少なくとも水位が5㎝は下がってる。アシから完全に魚が消えるほどの下がり方じゃないと思うけど……」
 このストレッチと、昨日ビッグバスのバラシがあったエリアでアシ撃ちを行なうがノーバイト。スタートから1時間後、「今日もまた違う展開だな……」と青木は頭を入れ替えた。

jb-3-03トーナメントウォーターに流れが出ていることを加味し、流れが遮られるスポットはとくに丁寧に探った。アシの張り出しの下流側にあるブッシュは、青木に「ここしかない」と思わせるスポット。5gテキサスリグ(ウルトラバイブスピードクロー)で丁寧に撃つがバイトは返ってこなかったため、シャローカバーゲームをすっぱりと見切った


 続いてアウトレットの水門に入り、周辺の沈み消波ブロックをチェック。ジグヘッドワッキーでエッジ部を探り500gのキーパーをキャッチした(8時49分)。ここで青木は水面上のラインが流されていることに気付く。
「流れてる……。(アウトレット最下流部の)水門は夜間に開放するはずなのに、今開けてる? まぁ、流れたら流れたときの釣りをするだけ。昨日とは何もかも激変するはず。水温が下降傾向にある秋に流れが生じると機能するスポットはだいたい把握してます」

 下流域の杭や護岸を触ったあと、青木が向かったのは北浦最上流部にあるアシのストレッチ。プラで手ごたえを掴んでいたエリアだ。
「試合前日に濁ってからまる1日たったから、もうそろそろ水が回復しているはず」
 10時43分に到着すると「回復してる」とつぶやきスピナーベイトが結ばれたタックルを握った。
「このエリアのバスはアシの沖をフラフラしながらワカサギを食ってるからかスピナーベイトに反応がいい。今は晴れてるから、アシのちょい沖にある沈み物にタイトについていると思う」

 また青木は数投してスピナーベイトを結び替えた。ハイピッチャー3/8ozは同じだが、ブレードのカラーをゴールドからガンメタに。天候と水質に対応し、強すぎるアピール力を避けてのセレクトだが、今までの人生でガンメタでは1尾も釣っていないという。最終戦の正念場で、いくらセオリーとはいえ釣った経験のないルアーをキャストできる選手がほかにどれだけいるだろうか……。

「2007年ころから僕が勝てるようになったキッカケは、状況に応じて展開を変えていくスタイルを取り入れたこと。ただ、昔は『ちょっとずつようすを見ながら』変えていたところが、昨年くらいから『180度』シフトできるようになってきた。パターンにしても、ルアーチョイスや細かいアクションにしてもそう。今スピナーベイトのブレードカラーをぶっつけで変えたのもそういうことです。今年コケたのは、まだ激しすぎる変化に順応しきれてないってことなのかもしれません。ただ、このフォームを自分のモノにできたら、俺はもっと強くなりますよ」

 直後の11時12分。青木はガンメタブレードで人生初の1尾(1㎏クラス)をキャッチ。直後にも600gクラスを追加してみせた。どちらの魚も青木が言う「アシのちょい沖の沈み物」にタイトに通すと食ってきた。

jb-3-01 試合前日は濁流と化していた北浦本湖上流域はクリアアップしていた。スピナーベイトでキーパーを抜く

jb-3-02「今まで1尾も釣ったことがないけど、この天気、この水色はガンメタのブレードがセオリー」「その日その日のベストパターンを探す」と語る青木。有言実行の1尾


 このあと青木は中流域に下り蔵川ワンドのシャローをスピナーベイトでチェックし、ワンド内は水が悪いことを確認すると本湖の杭撃ちを開始した。13時にヘビダンで杭を撃ち4尾目。5分後に100mほど離れた杭を撃っていた野村俊介が杭からキーパーをキャッチしているのを目撃。13時19分には八幡ワンド出口の杭でバイトを得るがラインブレイクしてしまう。が、「水深2mの杭がいい」と掴んだ青木は杭のラン&ガンを続け、14時30分に800gをネットイン。土壇場でリミットメイクを決め単日6位の3970gをウエイイン。

jb-3-04杭の脇でヘビダンをシェイクして推定800gに口を使わせた。リミットメイク!

 優勝に手が届く位置まで駆け上がった青木だったが、最終日は失速。最終21位でこの試合を終えた。



 この記事を読み返し、改めて思い出すのはBasser Allstar Classic2015年大会。初日を3位で終えたものの、2日目は9時までキーパーなし。それまで探っていた利根川上流域に見切りをつけた青木は、一気に最下流域まで大移動を敢行し、2570gのキッカーをキャッチした。まさに「状況に応じて180度展開を変えるスタイル」が勝利につながった試合だった。2012年には「順応しきれていない」と語っていたこのスタイルを、今や完全に自分のものにしている。「このフォームを自分のモノにできたら、俺はもっと強くなりますよ」という言葉が現実になったのだ。2016年の霞ヶ浦戦、そしてその1週間後のBasser Allstar Classic。どちらも青木大介から目が離せない。
 

2012年霞ヶ浦戦のメインルアー&タックル

jb-3-05a 右上から時計回りにベイトフィネスカバージグ4.5g+ドライブクロー3in、エグジグ2.7g+ディトレーター、ハイピッチャー3/8oz、3.5gダウンショットリグ+4inカットテールワーム、1.3gジグヘッドワッキー+5inスリムヤマセンコー


●4.5gラバージグ用
ロッド:ファンタジスタ・ディーズFDNC-70MMH MGSフュージョン
リール:レボLTX
ライン:バニッシュ・ウルトラ14Lb

●3.5gダウンショットリグ用
ロッド:ファンタジスタ・ディーズFDC-67L+ MGSベイトフィネス2
リール:レボLTX
ライン:バニッシュ・ウルトラ8Lb
(スイベルを介して10Lbリーダーをセット)

●スピナーベイト用
ロッド:ファンタジスタ・ディーズFDNC-610MH MGS ZX
リール:レボMGX
ライン:バニッシュ・ウルトラ12Lb

●ジグヘッドワッキー用
ロッド:ファンタジスタ・ディーズFDNS-61L MGSフィネス2
リール:レボ・ネオス・ディーズ
ライン:バニッシュ・ウルトラ4Lb
※ロッドとリールはアブ・ガルシア、ラインはバークレイ



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