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田辺哲男のスピナーベイト道場 :第5回(全6回)

バラシの原因は間違ったアワセ

Basser編集部=写真と文、もりなをこ=イラスト
佐々木5山形3 田辺01
 
 
DSC_0420スピナーベイトをフックアップに持ち込むために必要なアワセ方とは?
 
 
V6マリンサービスでランチングを終え、3人は利根川へ。
「今日はふたりともスッパーになってもらう。
って言っても、ただ投げまくればいいってわけじゃないからな。
エリアの特徴やコンディションを踏まえて、
自分の頭で考えながらゲームを組み立ててくれ」と田辺先生。
Q&Aで得た知識を活かし、一人前のスッパーになることはできるのか?

 
編集部員がエキスパートに入門し、座学と実践で免許皆伝を目指す 『Basser』の人気連載をピックアップ ※この記事はBasser2009年11月号に掲載されたものを再編集しています
 
田辺01講師=田辺哲男(たなべ・のりお)
 
1958年7月9日生まれ。1980年代に本場アメリカのバスフィッシング理論やテクニックを吸収し、日本に持ち帰ったアングラー。1986年発行の本誌創刊号に「パターンバッシング」を寄稿。その内容は今もまったく色褪せることがない。1998年からB.A.S.S. に参戦し、自身が生みの親であるクリスタルSを駆使して数々の実績を残した、理論派であり実践派。スピナーベイトをメインパターンにして初日2位にランクインした2015年のバサーオールスタークラシックが記憶に新しい。
 
山形3生徒=ヤマガタ
小学校6年生の冬に、山形の城跡の堀でバイブラシャフトで釣ったのがスピナーベイトでの初バス。「雪が降ってる日に釣れるはずがないと思って、根掛かりしにくいから、という理由で投げてたら釣れました」。以来、地元ではスピナーベイト派だったが、千葉へ越してきてからはクランクベイト派に。ちなみに「ヤマガタ」は新人時代に付けられたニックネーム。『Basser』編集長。
 
佐々木3生徒=ササキ
小学校6年生の夏に、広島の山間部の野池でデルタフォースで釣ったのがスピナーベイトでの初バス。「足もとのカバーから飛び出してきて食う瞬間が見えました。あのときの興奮は忘れられません」。以来、東京へ越してきてからも一途なスピナーベイト派で、一日中投げ続けることもある。2015年4月のH-1グランプリ新利根川戦でスピナーベイトを使って2位に入賞できたのはこの道場を受けたおかげ。
 
DSC_9377スピナーベイトとは……ブレード、ワイヤー、ヘッド、スカートで作られたルアー。水中で引くとブレードが回転し、光の反射と振動でバスを誘う。フックの前方にワイヤーがあるので根掛かりしにくい  


 

「本流を仕切ってるのは
  流れなんだよ」

利根川は河口堰があるタイダルリバーで、流れの有無や水位の上下は河口堰によって左右される。この日、3人が釣りをする時間は、ゲートは閉まりっぱなしだという。ゲートが閉まっている間は流れが緩くなり、利根川の水位は徐々に増えていく。逆に開けば強い流れが発生し、水位は落ちていく。  
 
215_doujyou-05朝イチはまず利根川本流へ。ベイトがちらほら見えるものの、利根川河口堰のゲートが閉まっているため流れがほぼ止まっており反応がない
田辺06田辺 今日俺たちが釣りをする時間はゲートが開く予定がない。流れが緩いから本流は厳しいだろうな。
 
 
s2 今日は釣れない、ってことですか? 田辺先生、今日は年に1度あるかないかの大勝利のチャンスなんです。なんとかしてください。普段よく投げている得意のスピナーベイトで勝たなきゃ後がないんです!
 
 
田辺01田辺 知るかよ、と言いたいところだけど、なんとかするよ。流れがあるであろう流入河川へ入ればいいんだ。本流も軽くチェックはするけどな。ただしチャンスは平等だから、あとは自分の力でがんばれ。
 
 
s6 ハイ! ハリキリますよ!
 

 
y7 ササキさぁ、いいかげん身の程をわきまえろよな? 前回の道場の結果(赤羽修弥先生が7尾、ヤマガタが7尾、ササキはボートの真ん中で0尾のサンドイッチ状態/2009年10月号掲載)を思い出せ。俺様に勝てるわけがないんだよ。たとえお得意のスピナーベイトでもな。キャッキャッキャッ!
 
 
215_doujyou-01V6マリンサービスがある常陸利根川から閘門をくぐり利根川へ
朝イチは本流をラン&ガン。斜め護岸のストレッチやテトラ帯、杭が入ったスポットを巡る。  
 
y3 ところで田辺先生。いったいどういう基準でエリアを選んでいるんでしょうか。実績がある場所をラン&ガンしている感じですか?
 
田辺01田辺 いや、違う。ボートで走ってて気になったところに入ってる。鳥がいたり、流れがほかのスポットよりも強かったりする場所だな。
 
 
s4 鳥、ですか?
 

 
DSC_0580田辺04田辺 そう。鳥がいるっていうことはベイトがいる。俺はエリア選択のときにベイトの存在をかなり重視しているんだ。ベイトがいればチェックする価値は充分にある。たとえ実績がなくてもね。あとは流れやカバー、風とか、ほかの好条件が重なればスピナーベイトに食ってくるヤル気のあるバスがいる可能性は高いよ。
 
 
y4 ベイトというと、ココはイナッコやサヨリがたくさんいてすごくいい感じですね。水の色もほかの場所よりずっといい気がします。
 
 
田辺06田辺 でも、食わない。流れがないことがすべてを台無しにしてる感じだな。ところでふたりとも、ロングロッドの使い心地は、どうだ?
 
 
s3 意外なことに、チョイと軽く振っただけでルアーを飛ばせます。テイクバックをほとんどとらなくてもバックハンドやサイドハンドで投げられるし。
 
 
y3 たしかに、3人乗りのバスボートの真ん中でバックハンドはキツイなぁと思ってましたが、楽勝でいけます。7ft6inもあるのに……。
 
 
215_doujyou-03ササキもヤマガタも7ft6inのロッドで巻き物を使うのは初めてだったが、その扱いやすさにびっくり。「難しいのはランディングだな。ロッドの真ん中を持ってやらなきゃいけない。ま、慣れればスムーズにできるけどな」と田辺先生
田辺01田辺 だろ? 俺も最初に使ってびっくりしたよ。長い分、軽く振るだけでティップが大きく動いてくれるからだろうな。だから1日中振っても疲れない。
 
 
y4 あと、キャストのあとの動作が楽です。キャストのとき空中にあるルアーの着水点を調節したり、カバーを乗り越えさせたり、トレースコースを変えたり、自由自在な感じですね。7ft6inは長すぎかと思ってましたが、こんなに楽とは……。カルチャーショックです。

 

「ベイトが大喜びしてる。
  こりゃ、期待できるな」

 
215_doujyou-06「本流の水位が低いうちは流入河川の流れが強いはず」という田辺先生の判断で根木名川へ入る。河口部にはすさまじい数のベイトが! ベイトの有無を重要視する田辺先生にとって、これはかなりのプラス条件。流れもある

  
午前8時。本流を後にし、根木名川へと入る。河口部でエレキを降ろすと、本流より流れが強く、ベイトの数がすさまじく水面には多数の波紋が広がっている。岸から10mほどボートを離し、斜め護岸に向かってキャストを開始。  
 
田辺04田辺 オイオイ! 利根川水系でこんなの見たことねぇぞ、ってくらいベイトが多いな。これは期待できる。
 
 
215_doujyou-07aファーストフィッシュはなんとササキ。この写真を撮影していると後ろから水しぶきが……
s6 とか言ってるうちに、きました!
 
 
y2 ぐっ……。バックシートでファーストフィッシュとは、や、やるじゃん。
 
 
田辺01田辺 ルアーは何?
 
  
 
s3 タイニークリスタルです! 岸から2mくらい離れたところで食ってきました。
 

 
田辺01田辺 なるほど。フロントで俺とヤマガタが投げてるのに1番後ろのササキが釣ったことを考えると、今日は弱めのモデルが正解か?
 
 
215_doujyou-08a田辺先生、さすがである 215_doujyou-08bデップリ太った45 ㎝クラスをキャッチ。ササキがタイニークリスタルS、田辺先生がディーパーレンジ3/8ozで釣ったことを考えると、今日は“弱め”が正解なのか
満面の笑みでヤマガタに撮影させるササキ。すると後ろで田辺先生のロッドが絞り込まれた! しかもデカい。45㎝クラスでパンパンに肥えている。  
 
y4 で、デカイ! さすが先生です! ルアーは……、ディーパーレンジ3/8ozですか。先生が言うとおり、今日は弱めがいいみたいですね。
 
 
田辺04田辺 だな。ベイトがいて、流れがある。俺とササキで連発したってことは、この川には好条件が重なってるってこと。もっと流れがあれば、さらに強いスピナーベイトにも食ってくるんだろうけどな……。上流へ行けば、もっとスゴいことになってるかもしれない。どんどん流してみよう。
 
 
y4 おっ!? バシッ! お待たせしましたあ〜ッ!
 
 
y7 あれっ? またきましたよ!
バシィッ!!
 
 
y6 よっしゃ! フッキングも完璧! あれっ?
 

 
ヤマガタのディーパーレンジ3/8ozにも2連続でバイトがあるが、どちらもバラしてしまう。
 
 
田辺10田辺 ヤマガタ、
バシッバシッ!
ってうるさいんだよ!

 

 

y2 でも田辺先生、フッキングしないと釣れないです。うるさいのは我慢してください!
 
215_doujyou-12aバラしまくりのヤマガタ。原因はフッキング。バスがルアーを咥えて反転する前にビシィッ! と鋭くアワせていたため、すっぽ抜け多かったり掛かりが浅くなったりしてしまう。ちなみにこの魚はバスではなく、シーバスだった

 
田辺06田辺 ヤマガタ、全然わかってないな。バイトを感じたら即アワセ、しかも相当鋭くフッキングしてるけど、それじゃダメだ。君のはジグやテキサスのアワセなんだよ。
 
 
y2 じゃあ、どうすれば……。
 

 
田辺01田辺 アワせるな。
 

 

y3 へっ……?
 

 
田辺01田辺 アワセを入れるのは、ロッドにバスの重みが乗ってから、つまり、ルアーを咥えたバスが反転してからでいい。それまでは同じ速さでリトリーブを続ける。グーッと重くなったら、できるだけ長いロッドストロークをとってアワせる。
 
 
田辺01田辺 鋭さはなくてもフッキングするから、落ち着いてやってみな。
 

 
y3 たしかに、バスがアングラーと反対方向を向いたときにアワせたほうが、スッポ抜けにくそうですね。バスの泳力もフッキングに利用できるし。
 

フッキングのレクチャー後、手本とばかりに田辺先生が1尾を追加(ヒットルアーはディーパーレンジ3/8oz)。しかし、河口から500mほど上流に差し掛かったあたりで3人は明らかな変化に気付く。
 
 
215_doujyou-10a緩いものの流れがあり、ベイトも多い。風も適度に当たっている。「好条件が重なってる。こりゃ、まだまだ出るぞ」と田辺先生。言葉どおり、ディーパーレンジ3/8ozで1尾追加
 
 
s2 先生、何だかベイトが少なくなってきた気がします。
 

 
田辺06田辺 たしかに。河口であれだけの数がいるんだから上流はもっとスゲェんじゃないかと思ったけど、そんなことはなかったな。でも、バイトがないわけじゃない。オーバーハングやカバーとかが絡めば食ってくる感じだな。
 

 
y8 たしかに。実は僕もオーバーハングでバイトがありました。またバラしましたけど。
 

 
田辺09田辺 だろ? つまり、こういうことだ。河口に比べてベイトが少ない……好条件がひとつ欠けているわけだ。その分、いいところにズバッと入れてやらないと反応がない。〝カバー〞または〝シェード〞っていう条件が必要なんだろうな。
215_doujyou-11根木名川の上流部へ向かうとベイトの数が明らかに減ってしまった。河口部付近では、岸ギリギリからボートべりまでまんべんなくバイトがあったが、上流部では写真のようなシェードやカバーをタイトに釣らないとダメだった
 
s8 なるほど。ところで先生、さっきから岸ギリギリをねらってるんですが、巻き始めに根掛かりが多発しちゃいます。どうすればいいんでしょうか?
 
 
田辺01田辺 岸際が浅すぎるのに、着水直後にルアーを沈ませすぎなんだよ。ルアーが着水したら、リールのクラッチを戻す前にサミングしながら、そのままロッドを立ててルアーを引っぱってやる。50㎝くらい引いたら、ティップを下へ向けながらリールを巻けばいい。
 
 
田辺03田辺 巻き始めの根掛かりが減るだけでなく、リールを巻き始めるときに一瞬スピナーベイトがフォールするからバイトチャンスにもなる。どシャローのバンクを釣るときにスゲー役立つテクニックだよ(イラストA参照)。
 
tanabeillustA a :着水直後はリーリングではなく、サミングしながらロッドワークでルアーを引く。着水からリーリングに移るまでのタイムラグでルアーが沈んで根掛かりするのを防ぐとともに、どシャローでのバイトを引き出しやすくなる
  
b :50㎝ほどルアーを引いたら、ティップを下げながらリーリングへシフト。このときに発生するタイムラグでスピナーベイトがフォールし、食わせのタイミングを作ることができる。水深が深くなっており、バスがついているであろう場所でフォールさせるのがポイント
 
  
 

 

スピナーベイトの基礎から
季節や状況ごとの使い方まで映像で解説

 

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