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2014年JB TOP50桧原湖戦を振り返る :第4回(最終回)

Basserが密着した山木一人の釣り

Basser編集部=写真と文
 この記事ではBasser2014年11月号に掲載されたJB TOP50桧原湖戦のレポートを掲載する。8月29日~31日にかけて開催されたこの試合では、吉田秀雄選手が他をあっと驚かせる釣りで優勝した。

 折しも今週末(2016年9月9日~11日)には、同じく桧原湖でのJB TOP50戦が控えている。今回の試合を見守るうえで、同じフィールドで開催された試合を振り返る。

 2014年とは2週間ほど日程に違いがあるが、その季節的なうつろいも踏まえたうえで、選手たちの釣り方やタックルに注目しつつ、試合結果を追っていくことで、このフィールドへの理解が一層深まることは間違いない。

 第4回は、Basserの記者が3日間密着取材した山木一人選手の釣りを紹介する。山木選手が見せてくれたトーナメントで勝つための釣りからは、状況判断の仕方やルアーの選び方など多くのことを学べるはずだ。


※記事内敬称略

独占状態の湖南ハンプと独創の立ち木パターン

23日間ともリミットメイクに苦労した。しかし平均サイズは大きい

 この大会では3日間山木一人に同船した。山木のTOP50桧原湖戦成績は2013年が3位。2012年が5位。2年連続で表彰台に立っている。

 TOP50において、「勝っていないことが不思議」と言われる選手が何名かいるが、山木はその筆頭だ。ご存知の方も多いと思うが山木は河口湖のJBプロトーナメントで25勝を挙げている。

 さまざまな異名をもつのも山木ならでは。たとえば気圧の変化や小魚の動きを迅速かつ詳細に察知し自分の釣りに組み込むため「半魚人」や「ナウシカ系アングラー」、シャッドの釣りを十八番とすることから「シャッド星人」などと呼ばれる。「山木の釣りだけはよくわかんないんだよね(笑)」という他の選手の声を聞いたことも一度や二度ではない。

 スタート前に話を聞くと、今回は湖の南半分(月島以南)をメインエリアにする予定だという。

「自分のなかで、桧原湖は月島を境にして、北と南でふたつの湖に分かれているイメージ。北は赤土系のバンクが多くて濁り気味かつシャローカバーも多め。南はクリアでロックハンプとかの地形変化が多い。今の状況だと、数が釣れるのは圧倒的に北。南は“終わってる”と言われてる感じで、釣ってる人もバイトも少ない。ただ、釣れる魚は痩せてはいるけど長くて重い。リミットをとるのに苦労すると思うけど、5尾揃えば3700gがねらえるんだよね」

 初日のスタート後、山木はこたかもり周辺の沖で「ちょっと寄り道」とボートを停めた。「こんなところの沖にハンプが?」と思ったが、山木はエンジン停止後に惰性を利用したデッドスローで岸に寄っていった。エンジン停止からファーストキャストまで5分。

「河口湖や芦ノ湖でとくに感じるんだけど、バスは走行中のボートにはビビらないけど、スローに進むボートが来るといっせいに逃げる気がするんだよね。本当のところはわかんないけど、桧原湖でもスポットへの入り方は気にするようにしてるよ」

 陸上で釣り方などを聞くと「テキトーだよ。びょーんと投げて巻いたらいきなり掛かった(笑)」などとライトな返答をしてくれることが多い山木だが、湖上での振る舞いはユルくなかった。

 山木のねらいは岸から30mほど離れたところの水深8mにあるハンプ。第一投はスイングベイトのノーシンカーリグ。極細PEラインを巻いたスピニングタックルで遠投して表層を巻く。続いて投げたのはジョッキー。「ただ巻きで潜らせてから浮上の繰り返し」という基本の使い方ではなく、連続トゥイッチによって水面で首を振らせた。「ザラとかでもいいんだけど、ジョッキーならピチャッとスプラッシュと音を立てられる」と山木。水深8mのスポットでトップウォーターというのは普通とはいえないアプローチだが、山木はこの釣りで何度も桧原湖のビッグフィッシュを獲っているという。思い返せばTOP50の野尻湖戦でディープの水中島上の表層のミノーイングで優勝争いに絡んだこともあった。

9ジョッキー(ジャッカル)

 このスポットで5投ほどしたがバイトは得られず南へ移動。続いて月島南のハンプ、そして南端に近いハンプ群へと入った。どの場所でも、ほかの選手の姿はほとんどない。試合中とは思えない閑散とした景色だった。ロックハンプでのダウンショットリグが今回の山木のメインパターンだった。

1 山木のメインエリアは湖の南端周辺のロックハンプ。バッティングはほぼゼロ。3日目に至っては360度見渡す限りほかの選手が一切いない時間が半分以上を占めた。山木は自分だけの魚を追っていた

「今回のテーマは“なだらか”。同じハンプを釣るにしても、斜面が急なところを探るとバイトは多いけどサイズが小さい。なだらかなところだとバイトは遠いけどサイズがねらえる。直前のプラクティスでは1kgアップも入ったよ。不安要素は風。今日回るエリアはどこも西風で機能するんだけど、試合中にその風が吹かないっぽいんだよね(笑)」

 TOP50レベルだと当たり前なのかもしれないが、山木はすべてのハンプの形状を詳細かつ立体的に把握していた。

 ハンプでの山木のメインルアーはサンスンニードル2.5inの1/16ozダウンショットリグ。着底後はシェイクを繰り返す。「風がないからロングステイじゃないと食わないかも。でも動かしちゃう(笑)」。

 そして8時55分、無名島南のハンプでファーストフィッシュ。山木の言葉どおり、桧原湖のアベレージを大幅に上回る1kgクラスのスモールをライブウエルに収めた。連発で2尾目(700gクラス)もキャッチ。

3 結果的に初日、2日目は大半のスモールをサンスンとニードル2.5inのダウンショットリグでキャッチ。最終日はバイトが遠のいたが……

「ハンプとハンプの間の水深4mくらいのところで食ってきた。なだらかなところだったよ。エサを食べに上がってきている個体だから、いればこんな風にすぐ釣れる。ちなみに1尾目はファイト中に5cmくらいのワカサギを吐きました」

 しかしその後正午まで数回のショートバイトのみで追加ができない。「立ち木のパターンを試してみる」と北上し馬の首エリアへ移動。昨年3位入賞した際の釣りである。直前プラクティスではまったく反応がなかったというが……。

4 3位に入賞した昨年のパターンを試す時間もあった。立ち木を真下に捉えダウンショットリグを落とし、中層でロングステイ。それは見たことも聞いたこともないパターンだった


 そのパターンの異質さは朝のトップウォーターパターンを上回るものだった。リグは2.4gダウンショット。ソフトベイトはサンスンでリーダーは60cm。山木はバンクから30mほど沖で魚探を掛け、水深13mに「しょぼいスタンプみたいなもの」を捕捉。そのスタンプを真下におきつつダウンショットリグを投下し、着底したらごくスローにリーリング。中層(立ち木のトップよりもさらに上のレンジ)で巻くのを止め、そこでロングステイ。3分止めることもザラだという。

「スタンプや立ち木を見つけて、ボトムでシェイクしても食わなかった。でも、フェザリングしながらゆっくりフォールさせたり、ゆっくりピックアップしたりするとバイトが出た。じゃあ中層で止めといたほうがよくね? と辿り着いた釣りです」

 この釣りで山木は3バイトを得て、1尾のキーパーをキャッチ。「落ち葉が一枚だけハリに乗ったようなアタリ」だったという。

 さらに、そこまでわかるのか……と驚かされたのは魚探を見ながらつぶやかれた山木の言葉だ。

「今ワームにスモールが近づいてる。食いそう……、あ、食わなかった……。魚探にワームが映るから便利だよね」

 結局この釣りでは後が続かずハンプへ舞い戻り、13時42分に4尾目、14時ジャストに5尾目をキャッチ。しかしその2尾は600g、450gと小ぶりだった。

「回遊の金色の魚じゃなくて、居着きの黒い魚なんだよね……。しかもなだらかなところじゃなくて急深なところでしかバイトが出ない。ねらってる魚が釣れてくれているわけじゃない。変わっちゃったな~」

 決して山木の思惑どおりではなかったものの、朝に入ったナイスキーパーが効いて5尾のウエイトは3118g。単日17位で初日を終えた。

 2日目もハンプのダウンショットパターンを続行したが状況は好転しなかった。初日の終了間際の2尾から得たヒントをもとに、ハンプの急斜面側をねらう時間を増やして対応し、水深7.5mを中心にねらっていく。また、プラからバスが移動していると仮定し、「広いエリアにポツンとあるハンプ」を大事に釣っていった。バスが残る確率が高いからだ。2日目の山木は6尾をキャッチ。スコアは3058gで単日20位。10位という表彰台もねらえる位置で予選を通過した。

7 もっとも使用頻度が高かったのはFサンスン(ノリーズ)またはニードル2.5in(ベイトブレス)の1/16ozダウンショットリグ。「サンスンは柔らかくてダラーンとした感じ。ニードルは硬くてピリピリ動く。日によって当たりがあるから両方試すよ。ちなみにこのふたつは同サイズだけど、引き感は全然違う。ニードルのほうが引き感は重いよ」

シャッド星人現わる


 競技時間が7時から13時と短い決勝はさらに苦しい展開となった。

 7時30分に南エリアのハンプで610gをダウンショットリグでキャッチ。

「水深8mまで落してみると食ってきた。なだらかとか急とかにこだわりすぎずに、ハンプをグルッと一周やるつもりじゃないとダメかも」
 しかし、その後11時までヒットが遠のく。ちなみに、選手の数が半分になる決勝では南エリアの選手の数はさらに減少。休日、そして試合中とは思えない独占状態だった。

「15位以内でこんな苦しい釣りしてるの俺だけだよ~。多分。爆発力はあるけど必要な条件が多い釣りばっかしてるからダメなんだろうな……」
 しかし、11時7分に転機が訪れる。月島の南で魚探にワカサギボールとスモールらしき魚影が映ったのを見て、山木はストレージからロッドの束を取り出した。0.4号のPEラインに5.5Lbのフロロカーボンリーダーがセットされたスピニングタックルを手に取り、ウルトラスレッジを結束。

最終日はライブウエルに1尾しか入っていないまま11時を迎えた(帰着は13時)。魚探に映るワカサギボールを確認した山木は想定していなかったパターンを試すことを決断。ストレージからシャッド用のスピニングタックルを取り出した

12ウルトラスレッジ(エバーグリーン)

「プラでは全然ダメだったシャッドのドラッギングだけど、今の映像なら試す価値はある。魚が素直に食ってくる状況とは思えないからアクションが暴れやすいウルトラスレッジでやってみる」

 激しいジャークを入れながらドラッギングで水深3~4mにシャッドを通す。ジャークの意味は、ルアーを跳ねさせてスモールに気付かせるためと、強制的にラインスラックを出すことで、ダート後にルアーが停止する間を作るためだ。

 すると瞬く間にバイトが出て500gクラスのスモールを怒涛の5尾連続キャッチ。12時10分には入れ替えまで行なった。「ハマってくれた~! 嬉しい!!」。山木は途中からスモールがボトム付近に映り始めたのを受けて、ジャーク後のポーズを意図的に長くしていた。

5 シャッドのドラッギングで瞬く間に5尾を連続キャッチ。土壇場で入れ替えまで成功! このラッシュが山木を入賞圏内の11位に残らせた


 このあと明らかに1kgクラスとわかるスモールがヒットしたのだが、長時間のファイトのすえボトムの沈み物に巻かれてしまいロスト。しかし、土壇場で揃えた2468gのリミットが山木を入賞圏内の11位に残らせた。

 この試合で、山木が実践したのは沖の表層のトップウォーターパターンと湖南ハンプのライトリグ、立ち木トップ上でのダウンショットリグロングステイ、そしてシャッドのドラッギング。いずれも、ほかの選手とねらいがかぶるシーンは皆無。ライブウエルに収めた15尾のスモールはすべて山木一人の魚だった。

13 ダウンショットリグ用のメインタックル
※2014年当時のデータです
ロッド:ポイズングロリアス264SUL-Sソリッドマスターαスペック(ジャッカル)
リール:ヴァンキッシュC2500HGS(シマノ)
ライン:バウオスーパーハードスーパーフィネス2.5Lb(東レインターナショナル)



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2016/9/8

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